『ラジオ焼きそば』 # 毎週ショートショートnote
ーみんな、ラジオ焼きそばの時間だよ。今日の焼きそばは何かな? バンバン? ペヤング?
いくよー、ひと口目。ゴー!
間に合った。
DJの掛け声に合わせて、机の上の焼きそばをかきこむ。
ラジオ焼きそばと言うのは、もともと僕と勝也で始めたものだ。今晩11時になったらカップ焼きそば食いながらあの番組聞こうぜ。
それが僕たちのつながり方だった。
それが、いつの間にかクラスに広がった。そして、誰かがハガキを出した。僕たちのクラスはカップ焼きそばを食べながら聴いてます、と。
それに、DJが食いついた。
ーみんな、来週から焼きそばを用意して、聞いてくれ。
ラジオ焼きそばは、瞬く間にプームになった。
焼きそばを食べながら、同じ番組を聞く。
それだけで、当時10代半ばの若者はひとつになれた。
しかし、番組の終了と共に、ラジオ焼きそばも終わった。
僕たちのつながり方も変わり、ラジオも消えていった。
今夜も焼きそばを食べながら、あの日を思い出している。
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