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『ルールを知らないオーナメント』 # 毎週ショートショートnote

きよしは、クリスマスツリーを片付けていた。
パパもママも仕事なので、冬休みのきよしの担当になった。
いちばん上の星からどんどん外していく。
丸くて赤いオーナメントに手をかけた時に、中に何かが見えたような気がした。
けれども、ゲームをしたいきよしは気にせずに外した。

ひかりは、ママを手伝ってクリスマスの片付けをしていた。
海外にいた頃は、年明けまで飾っていたのだけれども。
このあとはお正月の飾り付けをするのよ、とママは教えてくれた。
ひかりは日本でのお正月は初めてだった。
青く光る丸いオーナメントに金髪の自分が映っている。
手を伸ばした時に、中で何かが動いたような気がした。

きよしは赤いオーナメントを掴もうとして、ふと背後が暗くなったのに気づいた。
振り向くと、大きな手が伸びてきた。
その向こうに、金髪が見えた。

ひかりは、青いオーナメントを母に渡そうとして振り向いた。
大きな手が迫ってくる。
その向こうに、見覚えのある男の子の顔があった。


「毎週ショートショートnote」には、年内最後の投稿になります。
一年間ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。

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