『涙鉛筆』 # 毎週ショートショートnote
僕には、ずっと好きな子がいるんだ。
幼い頃からいつも一緒に遊んでいた。
大人になったら結婚したいなって思っている。
でも、彼女の気持ちはわからない。
いつか聞いてみたいな。
でも、僕には勇気がない。
ある日、彼女が泣いていたんだ。
「どうしたんだい」
僕が聞くと、彼女は涙を流しながら話してくれた。
彼女が、好きな男の子に告白したらしい。
でも、彼は彼女の気持ちを受け入れなかったというんだ。
それで、彼女は泣いている。
きっと生まれて初めての失恋だ。
彼女も…それに僕も。
彼女が好きなのは、僕ではなかった。
でも、僕は彼女の笑顔を見ていたい。
僕は、ポケットから鉛筆を取り出した。
「それは何?」
「涙鉛筆っていうんだよ、ほら」
僕は、彼女の涙で鉛筆の先をしめらせた。
そして、僕の頬に涙の絵を描いたんだ。
すると、彼女の涙は止まり、笑顔になった。
「ありがとう、もう一度、彼にお話してみるわ」
彼女を見送る僕の頬の涙は、消えることはない。
僕の名前は、ピエロさ。
『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』
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