『短い人生』

そんなこんなで、もう死ぬことに決めました。
理由はいろいろあります。
それはぜんぶ遺書に書きました。
手書きで、きちんと書きました。
新しいペンを買ってきて、丁寧に丁寧に書きました。
私の最後の手紙ですから。
何度も、何度も書き直して、心を込めて清書しました。
便箋も封筒も、いちばんお気に入りのものを選びました。
私には高すぎるかなとも思いました。
でも、最後だから許されますよね。
書き終わると、少し眠くなってきました。
少しくらい眠ってもいいかなと思いました。
最後だから許されますよね。
でも、死んでしまったらずっと眠っているのでしょうか。
それは困ります。
そうしたら、やりたいこともできません。
せっかく死んだのに、ずっと眠っているなんて。
そんなの嫌です。
私には、死んだらやりたいことがいっぱいあるのに。
それなのに、ずっと眠って過ごすなんて。
そんなの我慢できません。
起き上がって、遺書の裏にやりたいことを書き出しました。
書いてしまってから、しまったと思いました。
でも、遺書はまた書けばいいのです。
やりたいことを書いて、計算してみました。
私の人生、何だか短すぎると思いました。