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『半分ろうそくー本格風推理的小説』 # 毎週ショートショートnote

被害者は36歳の女性。
この部屋の住人。
死因は絞殺。
死亡時刻は昨夜の9時から10時頃。
第一発見者は、連絡がないのを不審に思い尋ねてきた会社の同僚。

竹下は中村警部補に状況を伝えた。
「君、これは」
中村は途中で消えているろうそくを指差した。
「彼女は、毎晩ろうそくの明かりで瞑想するのが日課だったそうですよ」
鑑識が開けたくれた引き出しの中には、色の違うろうそくが何本も入っていた。
長さもかなり差がある。

玄関が騒がしくなり、入ってきたのは彼女の恋人だという若い男だ。
昨夜は、ひとりで残業していたという。
夜になっても彼女から連絡がないので、今朝心配になって来てみたらこんなことになっていた。
「ろうそくが半分になっていますから、瞑想中に殺されたのでしょうか。それにしても誰がこんなことを」

署に戻る車の中で、中村は竹下に話しかけた。
「君、彼氏はたしか『ろうそくが半分』と言ったよね。長さもバラバラなのに、どうして半分とわかったのだろうね」


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