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【俳句】3.11 東日本大震災忌〜碧 萃生

「さんてんいちいち」と読みます「てん」にアクセント

東日本大震災の忌の寝ぐせ

あなたたちのことをいつも考えています。
忘れたことなんてありません。
そんなことは、僕には言えない。

日常のほとんどの時間を、被災者のことなんか考えもせずに過ごしている。
自分が楽しく生きることだけを考えて過ごしている。
思い出すのは、年に数回だ。
とこかで、また大きな地震があった時と、年に一度のこの日くらいだ。
それも、本当に思い出すだけだ。
現地に行ったこともない。
寄付だって、コンビニのお釣り程度でしかない。

それは、僕の中では、なかなかおさまらない寝癖のようなものだ。
思い出して、水に濡らして、撫で付けて、でも少しするとピンと跳ね返ってくる寝癖。
だから、誰の手助にもならない。
被災者の誰1人にも、何も届かない。

でも、その寝癖は、その寝癖を触って、あの日を思い出すことは、僕にとっては決して無意味ではない。
あの日、何をしていたのか。
妻と2人でどのようにして過ごしたのか。
そこに立ち返ることには、何か意味があるような気がしている。

だから今年も、寝癖を触るようにして、もちろん実際の僕は坊主頭なので、この寝癖はあくまでも比喩に過ぎないが、その寝癖を触りながら、あの日のことを少しの間思い出す。

政府はこのようにお願いしているが、僕は黙祷なんかしないと思う。
瞬き程度には、目を閉じるかもしれない。

「3.11」が季語かどうか。
季語でなければ無季ということで。

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