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物語のようなもの

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短いお話を思いついた時に書いています。確実に3分以内で読めます。カップ麺のできあがりを待ちながら。
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2024年6月の記事一覧

『ドレミファソラムネ』 # シロクマ文芸部

『ドレミファソラムネ』 # シロクマ文芸部

ラムネの音の思い出ですか。
ラムネっていうと、あの開けた時のビー玉が落ちて壜と触れ合う音。
それから、炭酸が吹き出てくる音。
そんな音を思い出しますよ。
でも、お聞きになりたいのはそんなことではないですよね。
ビー玉にしろ炭酸にしろ、それにまつわる、それを背景にした思い出ということですよね、あなたが私に求めているのは。

そうですねえ。
こんなのはどうですか。
ビー玉にも、炭酸にも関係はないのです

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『てるてる坊主のラブレター』 # 毎週ショートショートnote

『てるてる坊主のラブレター』 # 毎週ショートショートnote

わたしは雨女だと言われていました。
遠足の日も、運動会の日も、必ず雨が降りました。
遠足に行くのも、運動会に出るのも、わたしだけじゃないじゃん。
でも、雨女はわたしだとされました。

それは遠足の前の日でした。
隣の席の男子が、そっと小さな紙袋を渡してきました。
家に帰って開けてみると、中にはてるてる坊主。
白いタオル地にサインペンの目鼻口。
わたしは、窓の外にそれをぶら下げました。
でも、次の日

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