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本を書いた動機とは?『楽天IR戦記』note版あとがき

 2019年6月14日発売の『楽天IR戦記「株を買ってもらえる会社」のつくり方」を書いたのはどうしてかよく聞かれました。


 まず、質問の前提として、私のように事業会社のIRの実務者が実名で意見を言うことが少ないのですよね。経産省の委員会に出ていたときも感じましたが、活発に発言するのは、投資家側か、事業会社では金融機関からの転職組。私は、「純粋な事業会社の意見を言わなかったらここに呼ばれている意味がない」と思い、割と言いたいことを言っていました。

 事業会社の方が黙っている理由がなぜなのか、よくわかりませんでした。他社も含めて色々な方と話してみると、いくつか背景と思われそうなことがありました。「IRミーティングは同じことを何回も繰り返すだけでつまらない」という声です。投資家が次々と繰り出す質問に答え続けるも、相手の考えもわからないまま、予定の時間(だいたい1時間)を終えるからのようです。株主が主で企業が従だから、何か意見を言ってはいけない雰囲気を感じるようです。委員会でも、「ここで何か言ってはいけない」と思われたのでしょうか。

 いや、そうではなく、そもそもIRって資本市場とのダイナミックでインタラクティブな真剣勝負で、すごく面白いんですよ、ということを書きたいなー、と思ったからです。数字も戦略も含めて経営を近くで見て、それを対外的に伝え、外から意見が戻ってくる。資本市場はひとつではなく、投資家ごとに考え方や投資の軸となる期間には違いがあります。会社の考え方と近い投資家との関係を構築していくこと自体も楽しいです。さらに、その築き上げたリレーションを使って、資金調達できた時の達成感は本当に大きいものです。その醍醐味を、お伝えしたいと思ったのがきっかけです。

 3600社ある上場会社のうち、おそらく2000社くらい(もっと?)が、なんとなく受け身でIR活動を行っていると思われます。そういう会社に向けて、ノウハウをチラ見せしつつ、何のために上場し、何のためにIR活動をしているのか、考えてもらえたらいいな、と思っています。


IR(インベスター・リレーションズ)の経験などに基づいたテーマで記事を書いています。幅広い層のビジネスパーソンにも読んでもらえたら嬉しく思います!