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「無印良品」レトルトカレーのマーケティングトレース

初めてのマーケティングトレースになります。
まだまだ未熟者ですので至らない点や間違いもあるかと思います。
そんな時はご指摘いただけると幸いです。

今回は無印のレトルト商品がヒットした理由を目的としてマーケティングトレースを行いました。参考にした記事はこちらです。

まず初めに無印良品の概要を見ていきます。

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次に無印良品のレトルトカレーと市場規模を見ていきます。
無印のレトルトカレーについては以下のようになります。

無印良品がレトルトカレーを発売したのは90年代。当初はごく一般的なカレーを販売していたが、2005年 に「化学調味料、合成着色料、香料不使用」を謳ったグリーンカレーが登場。その後、2009年に大人気商品となるバターチキンカレーを発売。現在は45種類の味が売り出されている。
バターチキンでいえば、売上的には販売当初の約7倍になり、今では年間400万食に上る看板商品となりました。
(引用元:https://www.oricon.co.jp/special/55463/

次にレトルトカレーの市場規模について

7月の日本食糧新聞によれば、レトルトカレーの市場規模が17年度にカレールウを逆転。さらに、19年度の家庭用レトルトカレー市場は前年比4.8%増と好調な伸び方をしている。(引用元:https://www.oricon.co.jp/special/55463/
2018年には2400万箱を超え3年連続で過去最高を更新した(日本缶詰びん詰レトルト食品協会)。
(引用元:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/data/03-foods/03-26.html)

このことから無印のレトルトカレーはバターチキンの単一商品だけで約17%のシェアを誇っていることになります。

400万食÷2400万食=0.166666

たった一種類の商品で市場の6分の1のシェアを獲得しているのは恐ろしいです。
上記にも記載されているように、無印には45種類のカレーがあります。ですので無印のレトルトカレーの大枠で見るとさらに多くのシェアを獲得していると見ることができます。

では、なぜこれほど多くのシェアを獲得できたのかを自分なりに考えてみました。

🔽問い
社会のライフスタイルの変化を捉えた商品設計が成功のカギになっているのでは?

🔽仮設
・個食や健康ブームに合わせて、多彩なバリエーションと素材の味を追求したから成功した.

この仮設をもとにSEPT分析とSTP分析と4P分析を行いその整合性について考えてみました。

【SEPT分析】
SEPT分析の中でも社会のライフスタイルの変容に焦点を当てて考えました。
押さえるべきキーワードとして
・個食
・健康ブーム
があげられると思います。

まず個食についてですが、ここ何十年かで世帯数の変化が大幅に起こりました。

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(引用元:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h28.pdf)

上記は厚生労働省のHPの画像です。このことからもわかるように1990年過ぎあたりで2人世帯が4人世帯の割合を抜きました。ちょうどこのタイミングに無印はレトルト商品を開発したと思われます。
また、家庭内でも揃って食事を行わない「個食」が次第に加速していきました。


次に健康ブームについてです。

健康ブームが加速した背景は高齢化だと言われています。

1987年頃、「体に良さそう、健康に良さそう」といった情報がテレビで放映され始め、そこから世間の健康意識の向上が始まったと思われます。

その背景を踏まえてSTP分析と4P分析を行いました。

「STP分析」

・S:セグメンテーション
→嗜好性に注目

・T:ターゲティング
→嗜好別に顧客ニーズを特定

・P:ポジショニング
→本場の味を手頃・手軽に食べられる

「ポジショニングマップ」

無印のレトルトカレーを図解にすると次の通りです。
「本格派×低価格」という業界ポジショニングをとっています。

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無印の商品コンセプトは

無印良品は地球規模の消費の未来を見とおす視点から商品を生み出してきました。それは「これがいい」「これでなくてはいけない」というような強い嗜好性を誘う商品づくりではありません。無印良品が目指しているのは「これがいい」ではなく「これでいい」という理性的な満足感をお客さまに持っていただくこと。つまり「が」ではなく「で」なのです。
 しかしながら「で」にもレベルがあります。無印良品はこの「で」のレベルをできるだけ高い水準に掲げることを目指します。
引用先:https://www.muji.net/message/future.html

と記載されている通り、消費者から「これでいい」と満足される商品作りを行なっています。その基準の高さから顧客に喜ばれています。

この商品コンセプトを参考に4P分析を行いました。

「4P分析」

・商品
→①本場インドのカレーを徹底分析した味と素材
 ②辛さや味の幅広いニーズに応えた商品ラインナップ(45種類)
 ③化学調味料不使用

・価格
→約500円/一食
=本場スパイスカレーが手頃な価格で購入できるお得感

・流通
→無印の店舗かEコマース

・広告
→SNS(Twitter、Instagram)がメイン

SEPT分析とSTP分析と4P分析を踏まえると三つの成功要因があるのではないかと考えました。

一つ目は、時代とニーズに合わせた商品開発です。

個食や健康ブームの時代の流れを適確に捉え、レトルト食品市場への参入と同時に化学調味料を使わない商品開発が功を成したと思います。。

またカレーは老若男女に愛されてはいますが、人それぞれ辛さの好みや味の好みが分かれる食べ物だと思います。その幅広いニーズにも応えたことで、今まで主軸であった女性のターゲットに加えて男性や子供も顧客として巻き込むことにも成功したと考えられます。

二つ目は、独自のポジショニングを確立したことです。

どこよりも早く時代のニーズと顧客のニーズ捉えることができたから成功したと思っていましたが、レトルトの中でも本格インドカレーというポジショニング戦略がこの大ヒットを呼んだと私は思います。
理由としては、今スーパーに行くと有名店のカレーや大手食品会社のレトルトカレー商品で溢れていますが、本場を追求した商品はあまり見受けられないからです。
また、レトルトは安価で品質が低いといったイメージがあると思うのですが、本格派の味を追求することでそのギャップを見事に覆しました。
無印の商品コンセプトである「これでいい」と思ってもらえる商品開発が顧客の求めているニーズに合ったため成功したと言えます。

三つ目は、味・素材のこだわりです。

先ほどの二つ目でも書いたようにレトルトなのに本格派なカレーといった意外性、消費者の期待値を超えた商品であったため話題になったと考えます。
ちなみに無印の社員の方は商品開発をする際、直接インドに行って一日七食は食べて味の研究をしていたそうです。それくらい味や素材に情熱を持って商品開発を行なっています。
また、その本格的な味が最大の広告となったと言えます。
無印はあまり広告を出していない印象です。強いていうならばSNSで記事を投稿するくらいです。しかし、レトルトなのに本格的で美味しいということが反響を呼び、広告を出さずとも消費者間の間で口コミとなって認知が広まったと考えられます。

以上の三つの要素が無印良品のレトルトカレーの成功のカギとなったと考えられます。

無印良品のマーケティングトレースからの学び
①外部環境の要因を分析した上で市場や価値を提供すること
②口コミが最大の広告であり、口コミされる程の商品価値を高めること
③組織文化、マーケティング戦略、戦術が繋がっていること


まだまだ至らない点も数多くあるとは思いますが、継続していくことでマーケティング戦略を蓄積し、成長できればと思っています。

今後もよろしくお願いします。


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