見出し画像

週間サマリー(2023.09.25~09.29)

《米国》
株式市場
 
1週間を通して、米国株式市場は値動きの激しい展開となった。週前半は、米国の高金利が持続するとの見方から、投資家のセンチメントは悪化し、VIX指数は大幅に上昇。テクノロジー銘柄を中心に構成されるNASDAQやダウは大幅下落。日次ベースでは、26日には建築許可件数や新築住宅販売戸数が弱い結果に終わり、住宅市場は落ち着きを取り戻してきていることに加えて消費者信頼感指数も前回値・市場予想共に下回り、個人消費の鈍化が意識され、株価の下押し圧力となったか。加えて27日には米国10年金利が大幅上昇し、市場のセンチメントがさらに悪化し続落。続く週後半は、値動きの激しい展開となった。27日は、同日発表の耐久財受注が4ヶ月連続のプラス値となり、借入コストの上昇も企業の生産活動が予想以上に堅調であることが示され、株式市場に好感したか。VIX指数は下げ、市場のセンチメントが回復し、押し目買いなどが上昇要因と考えられる。その後、29日は同日に発表された個人消費支出物価指数コア(対前年比)、ミシガン大学消費者信頼感指数が前回値を下回ったことにより米国経済の弱さが意識され、下落基調で週を終えた。
 セクター別では、利上げ(高金利の据え置き)観測が改めて強まったことにより、テックや製薬セクターがマイナスに寄与。銀行セクターがプラスとなった。
 来週は、高金利が続くとの見方が米国株式市場の過熱感を意識させ、下落基調を予想。

債券市場
 
1週間を通して、米国金利市場は各年限まちまちな動きとなり、2年金利は下落、10年金利は上昇した。週前半は、26日に10年金利が一時4.550%台を記録した。要因として、原油高が考えられる。住宅市場の落ち着きにより、強いインフレが意識されていた米国市場の不透明さがまし、投資家はリスクオフな姿勢を強めた可能性も高い。週後半は、28日に一時4.65%台を記録。27日発表のコア耐久財受注、28日発表の国内総生産Q2(GDP)が前回値を上回る強い結果となったことが金利上昇圧力となったか。
 イールドカーブは、中・長期ゾーンが上げたことでベア・フラット化し、景気過熱感がより鮮明に感じられる。
 来週は、前週発表の経済統計の中でも個人消費支出物価指数コア(対前年比)の弱さが目立ち、次回FOMCの利上げ観測を後退させることで金利の天井を意識した買いが入り、幅広い年限での下落基調を予想。

《日本》
株式市場
1週間を通して、日本株式市場は下落基調となった。週初め25日の日経平均は、日本の金利市場が堅調に推移したことに好感し、リスクオンの姿勢を強めた投資家による買いが入った。27日には、米国の10年金利が大幅上昇したことを受けてドル円相場で円売りによる円安が加速し、輸出型の企業が主導する形で上昇したか。その後週後半は、市場参加者のセンチメントが悪化。原油市場の下落に加え、日本の長期金利の下落につられ、続落した。
 セクター別では、銀行セクターがマイナスに寄与した。要因として利益確定売りやリバランス売りが考えられる。
 来週は、米国市場のセンチメントの悪化が日本の株式市場をリスクオフにすることで、下落基調を予想。

債券市場
 
1週間を通して、日本金利市場は、幅広い年限で上昇した。週初め25日は、先週の日銀の金融政策決定会合を受けて、早期の金融政策修正の見通しが後退したことにより買いが優勢だったものの、週半ば27日から28日にかけては、10年金利が一時0.750%と10年ぶりの高水準を付けた。原油市場が高騰したことにより市場参加者のリスクセンチメントを悪化させたか。リスク要因の多い米国市場を警戒した売りが入ったと予想。
 来週は、日銀の早期の金融政策修正観測が後退した日本の金利市場において、長期ゾーンの高金利に妙味が生まれ、買いが入ることで下落を予想。その他年限も総じて下落基調か。

《ドル円相場》
1週間を通して、円安基調にあった。週前半は、円安が進行。26日には、149円の節目を割り込み、およそ1年前の水準にまでドル円相場を戻す展開に。週後半28日には、149.7円まで円安が加速したものの、150円台手前で日銀の為替介入を意識した買い戻しが増え、値を落ち着けたか。その後29日は一時148.5円まで円高が進行。日米市場では円買い材料に乏しかったため、テクニカルな円買いや月末のリバランスが考えられる。
 来週は、先週に引き続き日米金利差が意識され円安が加速すると予想。150円の節目を割り込むかが焦点となる。また、日米金利差以外にも原油市場や各種米国経済統計はドル円相場のボラティリティを高めるか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?