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【通信販売・私論】付加価値、利益について


先日下記の記事を読みました。


日本の賃金が上がらない最大の理由は、つまるところ会社の利益が上がっていないからだという話です。そしてその原因として企業が付加価値を増やすことができていないということが書かれています。通販企業が付加価値を増やして利益を上げることについて、私なりに少し考えてみたいと思います。

利益を増やすために

利益を増やすためのシンプルな方法は次のふたつが言われます。
1)売価を上げる。
2)コストを下げる。
そして、その両方を同時に行えばさらに利益を増やすことができます。

しかし現実に1)の売価を上げることについては、デフレ圧力もあって市場的には長年困難とされてきました。また中小企業の通販会社にとっても顧客離れに繋がり得ることや、消費者でもある従業員自身にとっても心理的なハードルがあり簡単ではありません。

一般的には2)のコストを下げる方にエネルギーは向かいがちです。BtoCの通販会社にとって、メーカーや様々な取引先からすれば客にあたるので、中小といえどもそれなりに交渉力はあります。当然コストダウンの努力はするわけですが、やはりそれにも限度はある。

とするとこのふたつの手法に頼らない別の利益を増やす方法を考えださなければなりません。
さてどうしたものか?

付加価値を上げる

前出の記事にもありますが、日本企業は付加価値を増やすことができていないと分析されているようです。
付加価値といってもこの言葉だけではやや抽象的に思えますが、シンプルに思いつくのは、商品の品質を高める、新しい機能を開発する、サービスを充実させるといったことがあげられます。
ただしこれらを実施して売価が同じのままでは利益を増やせない。むしろ付加価値の分コストをかけていることから利益は減ってしまいます。
付加価値を高めた分に見合うより高い売価を設定する、というよりもその設定できることが大事になってきます。

付加価値に見合った売価の設定

品質、機能、サービスといった付加価値を高めてそれに見合う高い売価をつけたとしても、それだけでは顧客は理解してくれません。
それらの向上が顧客にとっての価値として伝えて、且つ興味を持っていただくことが必要なわけです。それがないと単なる値上げにしかなりません。
言い換えれば付加価値の向上、差別化を顧客のメリットとして伝える場をきちんと作るということです。
これらを考えた場合、通信販売というのは付加価値を訴求する上ではとても優位な立場にいます。

なぜなら伝える場をもっているからです。

小売店で店員ひとりひとりが伝えるとなると、その通知や徹底をいった教育が必要になります。店員一人一人の理解にばらつきがあると顧客に対しての説明も不十分となり付加価値の向上がきちんと伝わらない可能性もあります。

しかし通信販売は紙媒体、電波媒体はもちろんECにおいても、言葉や写真デザインで説明できる場をもっており、その場は等しく大勢に伝えることができるのです。
さらに言えば、元々その限られた紙面などで伝える技術を磨いてきています。まさに言葉の使い方、選び方、デザインの作り方、写真の取り方、それらのレイアウト。それらをお客様にすこしでも分かりやすく、また他社にはない新しい価値を伝えるにはどうしたらいいか、という試行錯誤を日常的に繰り返し続けています。そのノウハウが強みになると思うのです。

ところで、通信販売とは一見安く売ることを武器にしていると思われる方も多いかもしれません。しかし私が思うに、ただ安く売るのではなく、お客様にとって不要な付加価値を削り、逆に価値と感じるところを商品的に強化して且つ分かりやすく特徴的に伝えるという販売手法です。
よく見ていますと、実際に機能や原価を厳密に計算すると小売りの量販店より高い値付けをしているケースも多いと思います。

これを品質以上に高い値付けをしていると思わないで欲しいと思います。
むしろ必要な価値に集中し不要な機能を省いた顧客重視、顧客視点の商品開発であり、付加価値の高め方だと私は考えています。不要な機能を削るということは使い方を簡単にするということにも繋がるので、実は付加価値の向上とも言えるわけです。
こうした考え方によって付加価値を売価の向上につなげることができますし、その価値をきちんと伝えることで顧客満足度も高め、利益も得やすくなると思います。

利益の還元について

利益というのはただ貯め込むだけでは価値がありません。
利益はそれをもとに会社が成長するための道具だと思っています。だから会社の成長のために利益を使わなければなりません。
では具体的に何に使うか?

会社の成長に大事な要素として顧客の存在があります。
顧客の数、顧客の満足度、顧客からの期待。
それらがあって会社は成長しますから、顧客のために使う必要があります。
それは商品開発だったり、顧客サービスの充実だったり。顧客にもっと満足していただくために使うことを考えました。

次に必要だと思うことは社員です。
会社の成長とは言い換えれば社員の成長です。もう少し範囲を広げれば組織の成長とも言えます。人に投資する、組織に投資する、といった考えを記事にしたことがあります。いずれにせよ利益を人に投資することが大事だと思います。
そしてこの中に当然賃金や賞与の向上も含まれています。
付加価値の向上を賃金の向上に結び付けることで会社の成長力をさらに強めていくことができると考えられるのです。

日本人の賃金についての議論や記事は冒頭にも記したように、今後も様々な検証され議論されていくことだと思います。
そんな議論を通して、通信販売業界に関わる人たちは自らの業界の強みを改めて考えて、そして賃金の問題についても考えてみてはいかがでしょうか。


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