見出し画像

名曲『昴 -すばる-』

本日のnoteは、谷村新司の不朽の名作『昴 -すばる-』を取り上げます。


『昴 -すばる-』の衝撃

この曲は、1980年4月1日、私が小学校6年生に上がる年に発売されました。作詞・作曲・歌唱を手がけたのは、アリスの谷村新司氏です。アリスでの谷村氏は、サングラスをかけ、帽子を被って、ギターを弾いている、ワイルドな印象のある人だったので、この静かで壮大な楽曲との間にはイメージのギャップがありました。

小学生にしては生意気にも、この曲を初めて聴いた時から「この曲はこの先何十年経っても、歌い継がれるだろう」という確信がありました。この曲以外にこう思ったのは、美空ひばり『川の流れのように』くらいです。(美空ひばりさんの歌う『昴』も映像に残っていて、絶品です。)

昴という漢字の読み方 ーすばるー もこの曲で知りました。プレアデス星団に因んだ昴宿を由来とするこのことばにも、素敵な響きを感じます。「統ばる」から来ているというエピソードもあります。この頃、男の子につける名前に”すばる”が増えたのもわかります。

今回調べて驚いたのは、この名曲は、オリコン(最高2位)でも、当時の人気番組ザ・ベストテン(最高5位)でも1位を記録していないことでした。長く多くの人に記憶される楽曲と、その時代の人気投票であるチャートの成績とは必ずしも合致しない典型的な例でしょう。

暮れのNHK紅白歌合戦で、この曲は何度も色々なバージョンで歌われてきました。中国でも非常に人気のある曲だと聞きます。この曲には多くの人の琴線に触れる魔力が潜んでいると感じます。

映像が浮かび上がる

この曲の冒頭の壮大感は特に好きな部分です。イントロを聴いただけで、自分が真っ暗闇の荒野で瞬く星空の下に立っている映像が浮かんできます。昔語り風に静かに紡がれていく歌詞も荘厳で、特別な世界に誘われている心地がします。

昔、アメリカのグランドキャニオンを旅した時に、この曲のフレーズがふっと頭に浮かびました。「無」とは何か、この地球上の幾多の流れの中では、自分なんてちっぽけな存在なんだと感じたことを覚えています。

大晦日にその旅から帰って、日本時間の半日遅れで現地時間の夜に合わせて再放送される紅白歌合戦で『昴 -すばる-』を聴いて涙したのもいい思い出です。

盗作疑惑? 名作ゆえの有名税

この曲には盗作疑惑があるようです。

歌詞が、石川啄木の詩からの拝借ではないかという疑惑で、ちょっと強引な話です。谷村新司さんも、「石川啄木の本は何冊か読んでいて、影響は受けているかもしれないけど……」というコメントをされているようです。確かに文語調で、日常生活では使わない言い回しが多用されています。

曲の方にも軍歌の『加藤隼戦闘隊』からの盗用だという話もあるようです。そんなのもういいじゃないか…… って思います。レッド・ツェッペリンの名曲『天国への階段』もイントロの盗作問題で長く係争していました。誰もが知っているような名曲になると、有名税的に言い掛かりをつけられることも避けられないようです。

あれから……

この曲を初めて聴いてから40年以上の月日が流れました。特に関連はないのですが、私たち夫婦は本日結婚20周年を迎えました。

今まで一緒に歩んでくれた妻には感謝しかありません。
誰もがこの道を…… 
誰かがこの道を……  
いつまでも心に沁みる歌詞です。

この記事が参加している募集

私の勝負曲

サポートして頂けると大変励みになります。自分の綴る文章が少しでも読んでいただける方の日々の潤いになれば嬉しいです。