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第53回全日本大学駅伝 備忘録

本日の記事は、11月7日に開催された第53回全日本大学駅伝対抗選手権大会(8区間 106.8㎞ )の備忘録です。

1区(9.5㎞)熱田神宮~名古屋

8:05、名古屋市の熱田神宮前のスタートを出場27チームが一斉に飛び出していきました。最初からかなりのハイペースで、第一工業大学のサレー選手が区間新記録ペースで飛び出しますが、札幌学院大学のグレ選手が引っ張る後方集団もハイペースを刻み、じわじわと追い上げていきます。

残り2㎞を切ってから、有力校の実力者が急ピッチで追い上げていきます。残り1㎞でサレーを抜き去ると、青山学院大学の二年生、志貴選手、中央大学のエース、吉居選手、駒澤大学のルーキー、佐藤選手、國學院大學の四年生、島﨑選手の激しいラストスパート合戦となり、佐藤選手がスパート合戦を制してトップで中継しました。

同タイムの2位には吉居選手、1秒差で島﨑選手、5秒差で志貴選手と続き、12位の拓殖大学まで29秒差という混戦で中継しています。

★ 佐藤条二(駒澤大学1年)27分05秒(区間新)

2区(11.1㎞)名古屋~桑名

上位チームが秒差で中継し、順位変動が起こりそうです。先頭で襷を受けた駒澤大学・青柿選手が前半をやや自重気味に入ったため、11チームが追い付いて集団を結成して、とレースを進めていきます。この区間の注目は、東京五輪3000mS.C.7位入賞の順天堂大学・三浦選手です。先頭から20秒差で襷を受けて一気に追い付いたことを考慮してか、集団の中に位置して自重気味に進めます。

中盤を迎える頃、今年の箱根一区を制した法政大学・鎌田選手、早稲田大学の10000m27分台ランナー、井川選手らが主導権を握って集団をリードします。駒澤大学の青柿選手、東洋大学の前田選手、青山学院大学の中村選手ら、優勝を狙うと見られた有力校が集団から遅れ始めます。

残り1㎞を切ると、終始集団の中で余裕を持って進めていた三浦選手が一気にスピードを上げて抜け出し、後続をどんどん引き離していきました。1㎞で2位に上がった法政大学に10秒差を付ける圧巻のスパートでした。3位に早稲田大学が11秒差で続き、14秒差の4位には明治大学の児玉選手が上がってきました。15秒差の5位には國學院大學の主将、木付選手が粘り、6位には三区に大砲ヴィンセント選手を据える東京国際大学の山谷選手が好走して21秒差に止めました。

駒澤大学は45秒差の7位、東洋大学は50秒差の8位、青山学院大学は1分13秒差の10位へと順位を下げました。やや不安な前半のレート運びです。

★ 三浦龍司(順天堂大学2年)31分30秒

3区(11.9㎞)桑名~四日市

前半のポイントとなる主要区間。3位で襷を受けた早稲田大学の10000m27分台ランナー中谷選手が追い上げ、1㎞を過ぎて首位に立つものの、6位で襷を受けた東京国際大学、ヴィンセント選手が格の違いを見せつけグングンと迫ってきます。2㎞過ぎで軽々と抜き去ると、後は距離を踏む毎に後続との差を開いていきます。4区の中継では、2位の早稲田大学に1分1秒差をつけました。3位には順天堂大学の実力者、伊豫田選手が粘りました。

さらに後方の注目選手は、学生10000m記録を更新した拓殖大学のラジ二選手で、ヴィンセント選手に次ぐ区間2位の走りで、11位で受けた襷を5位まで押し上げました。

青山学院大学は久々の復帰レースとなった三年生の岸本選手が区間3位と好走し、2分1秒差の8位まで順位を挽回してきました。東洋大学・九嶋選手はその後方の9位、駒澤大学の四年生、佃選手は11位に順位を下げました。苦戦が予想されていた東海大学はエースの市村選手が走ったものの、13位となかなか浮上できません。

★ イェゴン・ヴィンセント(東京国際大学3年)32分46秒(区間新)

4区(11.8㎞)四日市~鈴鹿

ヴィンセント選手の築いた1分1秒差の大量リードに守られて、東京国際大学・堀畑選手が悠然と首位を独走します。中継点では2位の早稲田大学・菖蒲選手に37秒差まで詰め寄られましたが、首位中継です。1分4秒差の3位は明治大学の小澤選手です。

後方では、青山学院大学・高橋選手、東洋大学・石田選手が区間賞の走りでそれぞれ6位、8位へと順位を挽回してきました。スーパールーキーの石田選手は、出雲に続き、連続区間賞を獲得です。駒澤大学も赤星選手が区間4位の走りで9位に進出してきました。

★ 高橋勇輝(青山学院大学4年)・石田洸介(東洋大学1年)34分08秒

5区(12.4㎞)鈴鹿~津

37秒差で先行する東京国際大学・生田選手に、早稲田大学のルーキー、石塚選手が8.3㎞地点で追い付き逆転しました。中継所では実力者の野村選手が好走して2位に上がった順天堂大学で17秒差をつける殊勲の走りで、早稲田大学が首位に踊り出ました。

後方では、昨年この区間で区間新記録をマークした青山学院大学の佐藤選手が今年も快走。先行する法政大学、明治大学、東京国際大学をかわし、首位と19秒差の3位まで肉薄してきました。優勝候補の駒澤大学は東山選手が区間8位にとどまり、1分51秒差の9位のままです。三年振りに出場の中央大学は、主力の三浦選手が区間3位の力走で8位に健闘しています。

★ 佐藤一世(青山学院大学2年)35分57秒

6区(12.8㎞)津~津

7区、8区の長丁場を前にした繋ぎの区間のイメージですが、上位戦線では接戦が続き、この区間でも激しい順位変動が起こりました。調子が上がらずこの区間に回った東京国際大学の日本人エース、丹所選手が区間新記録の走りを見せて巻き返し、4位に落ちたチームを再び首位へと引き戻しました。

東京国際大学には抜かれたものの、順天堂大学の主将、牧瀬選手が2位を守り、3位にはエース格の鈴木選手が走った明治大学が躍進してきました。下位に低迷していた駒澤大学は、安原選手が区間2位の好走を見せ、4位まで順位を挽回してきました。逆に、首位の早稲田大学・佐藤選手、青山学院大学のルーキー若林選手は、それぞれ区間17位、区間12位とブレーキの走りとなり、7位、5位に転落しました。

★ 丹所健(東京国際大学4年)37分12秒(区間新)

7区(17.6㎞)津~松阪

トップで襷を受けた東京国際大学・野澤選手を、同タイムの4、5位で襷を受けた同学年の大エース同士、駒澤大学の田澤選手と青山学院大学の近藤選手が激しく追い上げていきます。

実力的に一枚上と見られた田澤選手が、背後についた近藤選手を7㎞手前で振り切ると、13.5㎞過ぎで1分36秒差あった東京国際大学をかわして遂に首位を奪取するエースの仕事で、アンカーへ引き渡しました。近藤選手も18秒差で粘り2位で中継しました。3位には東京国際大学、4位は明治大学、5位は順天堂大学と続きます。

★ 田澤廉(駒澤大学3年)50分36秒

8区(19.7㎞)松阪~伊勢神宮

昨年は三つ巴でしたが、今年は優勝候補同士のアンカー勝負となりました。首位を走る駒澤大学は二年生の花尾選手、追う青山学院大学は主将の飯田選手です。18秒差を追う飯田選手がじりじりと差を詰めていき、一度は花尾選手のすぐ背後まで迫ったものの、最後は花尾選手がスパートをかけて8秒差で振り切り、二連覇のゴールテープを切りました。無念の飯田選手は、ゴール後に崩れ落ちました。

3位には四釜選手の区間2位の好走で、順天堂大学が入り、伊地知選手が区間賞を獲得する走りを見せた國學院大學が4位に入りました。古豪・中央大学が8位でシード権を獲得しました。一方、上位常連の東洋大学が10位、東海大学が12位とシード権を逃しました。

★ 伊地知賢造(國學院大学2年)58分33秒

チーム成績

優勝 駒澤大学 5時間12分58秒
2位 青山学院大学 5時間13分06秒
3位 順天堂大学 5時間14分20秒
4位 國學院大學 5時間14分53秒
5位 東京国際大学 5時間15分13秒
6位 早稲田大学 5時間16分29秒
7位 明治大学 5時間16分46秒
8位 中央大学 5時間17分06秒

勝手に寸評

順天堂大学・三浦選手、駒澤大学・田澤選手、東京国際大学・ヴィンセント選手の走りには、「強いなあ」という思いを抱きました。今の学生長距離界では頭一つ抜けた選手たちです。今回は七区に起用された田澤選手は、大エースの貫禄溢れる走りで、二年連続MVPを獲得しました。

昨年はルーキーの強さ・活躍が目立った大会でしたが、今年もスーパールーキーの呼び声が高い、東洋大学の石田選手が出雲駅伝に続く連続区間賞に輝きました。青山学院大学の二年生、佐藤選手も昨年に続く連続区間賞で、悪い流れを引き戻すゲームチェンジャーの仕事をしました。

大学生トップレベルの選手は、トラックの5000m13分台前半、10000m27分台の記録を持ちます。今年は関東以外の大学の選手が活躍する機会が少なかったものの、全国的に学生長距離界のレベルアップは進んでいます。

今年は生中継がみられず、後日YouTubeなど細切れの動画で確認したので、細かな所の記述が今一つです。何卒ご容赦下さい。

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