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第99回箱根駅伝予選会 観戦記

本日(2022年10月15日)、来年の1月2日、3日に開催される第99回東京箱根間往復大学駅伝競走への出場権を賭けた予選会が、東京・立川市陸上自衛隊立川駐屯地スタート~立川市街地~国営昭和記念公園ゴールの21.0975kmで争われました。その観戦記を記します。 

箱根駅伝を目指すチームの一年で一番長い日 

箱根駅伝の本大会は、前回大会で10位までに入り、予選会出場免除のシード権を持っている10校と、本日の予選会を勝ち抜いた10校で争われます。さらに、本戦出場を逃したチームの個人順位上位の選抜メンバーによって結成される関東学連選抜チームがオープン参加します。

近年は実力が伯仲しており、かつての常連校や実力のある伝統校であっても、ミスが重なれば、本戦出場は叶いません。今年の箱根駅伝でシード落ちを味わった早稲田大学、東海大学、明治大学あたりの実力校でも、安泰とは言えません。 

 レース観戦前の豆知識

過去2回は感染対策の観点から、立川陸上自衛隊駐屯地内の周回コースを使った無観客開催で行われていたものの、今年は、依然として観戦制限はあるものの、自衛隊駐屯地~市街地~国営昭和記念公園内の起伏に富む本来のコースに戻りました。声援は不可ながら、各校の応援団も繰り出して、雰囲気を盛り上げています。

晴天、微風の好コンディションながら、気温と湿度が高く、意気込み過ぎての脱水症状も心配されるコンディションです。予選会の選考方法は独特で、各チームから12名がエントリーされ、上位10名の合算タイムで争われます。予選を確実に通過するには、10人の選手がそれぞれの役割を果たすことが重要です。スーパーエースが快走してタイムを稼いでも、ブレーキを起こす選手が多数出てしまうとチーム順位には致命傷になります。この為、殆どのチームが、持ちタイムのよいエース級の選手にはフリーで走らせる(攻め)一方、中堅以下の選手たちはペースを守っての集団走(守り)という戦略を立てます。

レース寸評

 9時35分の号砲で、一斉にスタート。走力のある外国人留学生が先行して、先頭集団はハイペースの展開になるかと思いきや、牽制からか自衛隊駐屯地内の周回コースでは、1㎞3分程度のスローペースではじまりました。この結果、ペース走を目論んでいた中団以降の選手の集団は、かなりの密集状態となり、接触・転倒などのアクシデントも起こっていました。

4㎞を過ぎたあたりから、ようやく先頭集団がペースを上げ、集団が縦長にばらけ始めました。市街地コースに出る中盤あたりからは、実力的に一枚抜けていると考えられていた武蔵野学院大学のチャールズ・カマウ選手の独走となり、昨年自身が出した優勝タイムを上回る1時間0分58秒で、見事に二連覇を達成しました。以下2~7位までを、各校の外国人留学生選手が占めました。 

日本人トップの8位には、専修大学3年の木村暁仁選手が1時間2分32秒で入り、実力者の早稲田大学・井川龍人選手(1時間2分39秒=9位)、明治大学・富田峻平選手(1時間2分39秒=10位)を抑えました。注目されていた東海大学のエース・石原翔太郎選手は、前半積極的に外国人留学生の作るペースについて走ったものの、後半に失速し、個人順位は奮わない結果に終わりました。

結果寸評

 【チーム順位】
①10:40:39 大東文化大学
②10:41:41 明治大学
③10:42:09 城西大学
④10:42:29 早稲田大学
⑤10:43:34 日本体育大学
⑥10:46:18 立教大学
⑦10:46:55 山梨学院大学
⑧10:46:56 専修大学
⑨10:47:03 東海大学
⑩10:48:55 国士舘大学
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⑪10:49:29 神奈川大学
⑫10:51:25 中央学院大学
⑬10:52:02 日本大学
⑭10:52:40 麗澤大学
⑮10:53:50 筑波大学 

過去3年間出場権を逃していた大東文化大学がトップ通過を果たしました。仙台育英高校での指導力を買われ、今年4月に就任した同校OBの真名子圭新監督の采配が的中した形となりました。昨年予選敗退の苦汁を舐めた城西大学も3位に入り、2年振りの本戦へ返り咲きです。

誤算はあったものの、明治大学、早稲田大学は順当に上位通過を果たしました。日本体育大学は、エースの藤本珠輝選手の欠場による戦力ダウンと前半5㎞の暫定通過順位が18位に低迷していたことから心配されたものの、後半に地力を発揮し、無事に出場権を確保しました。

総合6位には、日本のトップランナーとして活躍した中央大学OBの上野裕一郎氏を監督に迎え、強化を図ってきた立教大学が入り、55年振りの本戦出場を決めました。伝統校の山梨学院大学、専修大学も、しぶとい走りで連続出場を決めました。2019年の優勝校・東海大学は、総合9位で薄氷の予選通過となりました。最後の1枚には国士館大学が滑り込み、連続出場を守りました。

全日本大学駅伝選考会をトップ通過し、力があると見られていた神奈川大学は、エースの山崎諒介選手ら主力の欠場が響き、序盤のスローペースの誤算も重なって34秒届かず、番狂わせの落選となりました。前回出場校の中央学院大学が12位、昨年初出場の歓喜に沸いた駿河台大学も、今年は19位に沈みました。

勝手に総括

予選会には毎年のようにドラマが起こります。今回は、過去3年の低迷に苦しんだ名門・大東文化大学の復活と、スター性のある上野監督率いる立教大学の55年振りの予選突破が話題でしょう。

予選会で強さを発揮したチームは、勢いに乗って本戦でも上位争いをする傾向があります。元々、実力のある選手を多数擁する伝統校の明治大学や早稲田大学、日本体育大学には上位進出の期待がかかります。復活出場を果たす大東文化大学、城西大学の爆走も楽しみです。

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