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「箱根駅伝 強豪校の勝ち方」を読む

日曜日は、息子の体調が万全ではなく、外は冷え込む予報だったので、久しぶりに外出せずに過ごしました。息子がなぜかNHK Eテレ以外の番組を観ることを嫌がるので、福岡国際マラソンの中継が観られませんでした。代わりにこちらを読みました。

著者の碓井哲雄さんは、駅伝ファンならお馴染みの箱根駅伝の名物解説者です。1960年代半ばの中央大学黄金期の主力メンバーで、自身も1964年の東京オリンピックを目指す日本のトップランナーだった人です。高校卒業後に、東急(瀬古利彦さんのコーチとして知られる名将、中村清さんが監督)に入社してから、中央大学に入り直したことは知りませんでした。

箱根駅伝の人気は年々高まっていて、この季節になると本屋にも解説本が山のように積まれています。強豪校の監督自ら書かれた書物も多数あって、最近は簡単に情報にアクセス出来るようになりました。

あまり詳しくない人からみると"駅伝=箱根駅伝"のイメージは強烈だと思います。しかし、各区間が20㎞を超え、山の上り下りの特殊区間があり、二日間10人の継走で争われる箱根駅伝は異色のロードレースです。

碓井さんは、大前提として、箱根駅伝は「過酷なレースである」ことを強調されます。20㎞以上の距離をしっかりと走れる10人の優秀な学生ランナーを揃えるのは、想像以上に大変なことであり、かなり無茶なレースであると言われています。

そして、近年の箱根駅伝人気が高まっている背景には、このような無茶が要求される競走に若者達がチーム一丸となって挑む姿が、便利で合理的な生活を当たり前として生きている現代人の心の琴線に触れるからだろう、と分析されています。

加えて、攻略が容易ではないこの難コースに対して、ライバルの戦力、作戦を読んで、各校の監督が繰り出すレース戦略に、頭脳戦、心理戦的な面白さがあることも指摘されています。全く同意します。

箱根駅伝以外でも、長距離ランナーのスピードの強化法に関して、"スピード"という言葉への誤解があるとか、今流行りのフォアフット走法は、1980年代の中山竹通選手が既に採用していたとか、ランナーの故障箇所として、従来多かったアキレス腱からシンスプリントが増えてきている背景に、グラウンド環境の変化があること、など興味深い話題を提供してくれています。

駅伝マニアではなくても平易で、楽しめる内容だと思いますが、往年の名選手や名指導者達を覚えている私にはたまらない内容でした。レース本番までもう一ヵ月を切りましたね。今から楽しみです。

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