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第52回全日本大学駅伝 備忘録

本日のnoteは、11月1日に開催された第52回全日本大学駅伝の備忘録です。

1区(9.5㎞)熱田神宮~名古屋

出場25チームが一斉にスタート。札幌学院大学のグレ選手が区間記録ペースで集団を引いていきますが、他の選手も大集団を形成して離れません。

残り2㎞過ぎからスパート合戦が始まり、中継所手前で、順天堂大学のスーパールーキー、三浦選手が猛烈なスパートを爆発させ、堂々の区間賞を獲得しました。3秒差で城西大学、6秒差で駒澤大学が続きました。優勝候補の東海大学は16秒差の7位、青山学院大学は19秒差の10位とトップから射程圏内で中継しました。

★ 三浦龍司(順天堂大学1年)27分7秒(区間新)

2区(11.1㎞)名古屋~桑名

秒差で中継したため、前半から目まぐるしく順位が入れ替わります。東海大学・市村選手、青山学院大学・近藤選手は今一つの走りで、首位から1分以上引き離された17位と14位に後退しました。2位で襷を受けた城西大学の実力者、菊地選手が好走して首位を奪取しました。2位に明治大学、3位に早稲田大学が躍進してきました。

注目の皇學館大學・川瀬選手は、実力を存分に発揮。後方から追い上げて17人を抜き去り、21位で受けた襷を4位まで押し上げました。首位から13位までが1分差以内にひしめいています。

★ 川瀬翔矢(皇學館大學4年)31分24秒

3区(11.9㎞)桑名~四日市

前半のポイントとなる区間。早稲田大学のエース中谷選手が、コース前半で首位に立つと後続をぐいぐいと引き離して区間賞の力走を見せました。2位を守った明治大学に20秒差を付け、首位で中継しました。

東海大学は主将の塩澤選手、青山学院大学は中村選手が、それぞれ区間2位、3位の好走で、チームの順位を11位、6位まで挽回してきました。期待のルーキー佐藤選手、鈴木選手を起用した東洋大学、駒澤大学はそれぞれ7位、8位につけています。

★ 中谷雄飛(早稲田大学3年)33分42秒

4区(11.8㎞)四日市~鈴鹿

首位を走る早稲田大学の太田選手は単独走ながら区間新記録をマークし、5区中継では2位の明治大学に52秒差をつける快走を披露しました。

後方でそれを上回る快走を見せたのが、東海大学のルーキー、石原選手。区間賞(区間新)を獲得してチームを6位まで押し上げました。

順天堂大学・野村選手も区間新の走りで3位へと躍進しました。その後の4~7位に、優勝候補の青山学院大学、東洋大学、東海大学、駒澤大学が秒差でひしめく面白い展開になってきました。

★ 石原翔太郎(東海大学1年)33分16秒(区間新)

5区(12.4㎞)鈴鹿~津

早稲田大学のルーキー、菖蒲選手は、後続に10秒差まで詰められたものの、なんとか首位を死守しました。圧巻の走りを見せたのが、4位で襷を受けた青山学院大学期待のルーキー、佐藤選手。区間新の走りで前を走る2校を抜き去り、首位と10秒差の2位に進出してきました。7位の東海大学まで43秒差の接戦です。終盤の7、8区に各校とも力のあるエースを残しており、後半盛り上がりそうです。

★ 佐藤一世(青山学院大学1年)35分47秒(区間新)

6区(12.8㎞)津~津

繋ぎの区間のイメージですが、接戦です。明治大学・大保選手、東海大学の長田選手が好調な走りで、先行する早稲田大学・諸富選手に追い付きます。

7区の中継は、東海大学・明治大学が同タイムながら、東海大学が先着しました。3位は2秒差で早稲田大学、4位が駒澤大学、5位が東洋大学。青山学院大学はルーキー、山内選手がやや苦しい走りになり、6位に後退しました。6人抜きの東海大学・長田選手が区間新記録を樹立しました。

★ 長田駿佑(東海大学3年)37分22秒(区間新)

7区(17.6㎞)津~松阪

トップで襷を受けた東海大学は4年生三本柱のひとり、経験豊富な西田選手。明治大学は今年の箱根二区を好走した2年生の加藤選手。早稲田大学は長距離が強みを発揮する鈴木選手、東洋大学は大エースの西山選手、駒澤大学は伸び盛りの小林選手、青山学院大学は主将の神林選手。各校取っておきのランナー揃い踏みといったところでしょう。

6位から追い上げた神林選手が好調で、区間賞の快走で2位に39秒差を付けて首位通過。粘った東海大学は2位、3位は、その2秒差で駒澤大学です。

今季トラックの10000mで28分3秒の好記録をマークし、爆走が期待されていた駒澤大学・西山選手は中盤から失速して首位から1分54秒差の7位へ後退。チーム順位を2つ落とし、区間11位と期待を裏切る結果に終わりました。

★ 神林勇太(青山学院大学4年)51分17秒

8区(19.7㎞)松阪~伊勢神宮

首位の青山学院大学は吉田選手。2位の東海大学は名取選手、3位駒澤大学は田澤選手。チームを背負う大エース、学生長距離界を代表するトップランナーによる豪華な優勝争いとなりました。

先行する吉田選手に、名取選手、田澤選手がレース中盤で追い付くと、11㎞過ぎで吉田選手が遅れ、二人のマッチレースとなります。吉田選手はその後明治大学・鈴木聖人選手にもかわされ、4位に転落する苦しい走りです。

レースの主導権を握っていたのは田澤選手で、名取選手の再三の揺さぶりにも余裕をもって対処し、残り1㎞から渾身のスパート。この残り1㎞だけで実力者の名取選手を23秒も引き離す圧巻の走りで、駒澤大学の史上最多13回目の優勝のテープを切りました。2位は惜しくも連覇を逃した東海大学、3位には鈴木選手が好走した明治大学が食い込みました。

★ 田澤廉(駒澤大学2年)57分34秒 《MVP》

チーム成績

優勝 駒澤大学 5時間11分8秒 大会新記録
2位 東海大学 5時間11分31秒 大会新記録
3位 明治大学 5時間12分24秒 大会新記録
4位 青山学院大学 5時間12分42秒 大会新記録
5位 早稲田大学 5時間13分4秒
6位 東洋大学 5時間13分15秒
7位 帝京大学 5時間14分40秒
8位 順天堂大学 5時間14分43秒

勝手に寸評

順天堂大学・三浦選手、駒澤大学・田澤選手の走りには「強いなあ」と呟いてしまいました。田澤選手は、完全に勝負に徹した走りで、前回大会MVPの実力者、名取選手のぴったり後ろにつけてプレッシャーをかけ続けてスタミナを奪い、一発のスパートで振り切った走りは見事の一言でした。

1年生の強さ・活躍が目立った大会でした。区間賞を獲得した3人の記録は、いずれも従来の区間記録を更新してのもの。高校時代から全国的にその名を知られた有力ランナーでしたが、大学進学後も順調に成長していることを伺わせます。それ以外の学校でもスーパールーキーが好走しており、成長が楽しみな選手の多い世代です。

大学生ランナーの底上げは急速に進んでいます。5000m13分台、10000m28分台のベストタイムを持つランナーは全く珍しくなくなりました。関東以外の大学のレベルアップも目覚ましく、その代表格であるハーフマラソン現役学生最速の皇學館大學・川瀬選手は額面通りの走りを見せました。

今回はameba TVで観戦しました。解説は西脇工業~早稲田大学~旭化成で活躍した八木勇樹さん、ゲストは駅伝通の乃木坂46・佐藤楓さん(青山学院大学の神林選手はいとこ)でした。八木氏のランナー視点の解説は新鮮でよかったですが、CM中断が多くてレース経過が途切れるのは残念でした。


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