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『超二流』を読む

私にとっての一週間の始まり、金曜日がやって来ました。気持ちを上げて、上げ潮モードで盛り上げていきます。今夜の読書感想文は、昨夜一晩で読了した、野球解説者、野村克也氏の『超二流』です。

野村氏は名選手にして名監督。選手としても、指導者としても超一流の実績を残している野球界でも稀有な存在です。

京都の片田舎の無名高校から南海ホークスにテスト入団。現役時代は、守りの要の捕手として活躍し、1965年には打率・本塁打・打点の打撃三冠王に輝くなど、素晴らしい実績を残しています。

指導者としては、南海・ヤクルト・阪神・楽天の監督を歴任し、リーグ優勝、日本一の経験もあると同時に、記憶に残る多くの名選手を育てた名伯楽でもあります。

豊富な経験と知識に裏打ちされた、テレビの野球解説も評論もすこぶる面白い。あのホリエモンこと堀江貴文氏が「野村さんは滅茶苦茶頭がいい」と絶賛しています。

そして、この本も非常に面白いです。

持論である「無視・賞賛・非難」は強烈です。三流選手には無視、二流選手には賞賛、一流選手には非難で接するのがよいといいます。私なら多分、初対面で人間性を見透かされ、徹底的に無視されて、人間としてまともな扱いを受けられないんじゃないか、と思うので、対峙するのが正直怖いです。

あくまでも個人的な印象ですが、人の好き嫌いも強くて、依怙贔屓もやるんだろうなあ、感が半端なくあります。人間性への評価が厳しい野村監督が上司で、もしも干される扱いを受けたら、私のような性格の持ち主は間違いなく反発しそうだな…と想像してしまいます。確かに周囲に感謝の気持ちを持って、素直に努力する人が凄いというのは真実なんですが。

研ぎ澄まされた野球理論と選手の長所短所を把握する人間観察能力は本当に凄いと感じます。野球人として間違いなく超一流の人だと納得します。面倒見の良い人であることも理解します。自分の考えを言語化する能力も凄いと思います。野村氏の著書はどれも気付きを与えてくれます。自分の頭で考えるという癖が染み付いていて、そして徹底している人だと感じます。

一方で私生活や現役時代のエピソードを調べると、およそ品行方正、優等生とは程遠い話もあります。それって人てしてどうなんだろうか…と思ってしまうような事件や問題も過去には起こしています。野球馬鹿で常識に疎い面があるのでしょうか。接する人によって、対応に裏表がありそうな気配も漂います。他人には理想の人間道を強いるのに自分は特別という価値観の人なのかな、と意地悪く疑ってしまう時もあります。根は優しいひとなのかも‥チャンスとアドバイスはくれそうな気もしますが‥ 興味深い人であることは間違いありません。

本の表紙から84歳には見えない若さです。近年は愛妻を亡くされて気分も落ちていたのかもしれませんが、野球が心底好きなんでしょう。なんとも不思議な存在感のある人です。

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