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職業=会社員 を考える

「職業に貴賤はない」と言われますが、「どうせ働くのであれば、毎日楽しく、好きなことをして稼ぎたい」というのが、大多数の人の考えではないかと思います。

では、"職業"とは何なのか?wikipediaで調べてみましたら、

日常的に従事する業務や労働など、技能、知識、能力などをまとめた一群の職務のこと。
職、生業、仕事とも呼ばれ、日本では正規雇用で労務に従事することを就職、就労という。生計を立てるための仕事も職業とされる。

とありました。

最後の定義に当てはめるならば、私の職業は、会社員(給与所得者)ということになります。戦後定められた学制制度のレール通りに歩み、大学を卒業して、今の会社に入社して以来、給与所得を主要な生活の糧として生計を立ててきました。

私が就職活動をしていた頃、日本経済はバブル景気に沸き立つことに慣れ、先行きには今以上に希望が満ち溢れていた時代でした。取り立てて優れた資質もなく、資格も持っておらず、金を稼ぐことの意味も良くわかっていない世間知らずな若者だった私も、この浮かれた時代の未曾有な好景気の恩恵を受け、殆ど苦労を知らずに会社員生活のスタートを切りました。頭の中がお花畑でもなんとかなってしまうような恐ろしい時代でした。今となっては幸せなことだったのか、よくわかりませんが…

私には、漠然と夢想することはあっても、何が何でもこれになりたいという確固たる夢も理想もありませんでした。平たく言うと、なりたい職業がなかったのです。

当時の自分を責める気持ちはありません。当時、人生をどう生きるかという確固たるプランもなく、具体的にどうすればいいのかも知らずに流されていたのは私だけではありませんでした。周囲を見渡せば、私以上に考えていない学生もかなりいましたので、焦りも全くありませんでした。

私が会社員として実現したかった夢は、以下の三つだけです。

・東京で働きたい
・海外出張に行きたい
・海外駐在がしたい

本当にこれだけでした。遠慮なく笑って、バカにしてもらって結構です。今の自分から見ても、「何じゃそれ」って思います。

この三つの夢が叶いやすそうな環境を与えてくれそうな会社、というのが就職する際の条件で、後は何となく嫌なこと、やりたくないこと、気分が乗らなさそうなことを排除しながら、どちらかと言えば、消去法で選んで決めたのが今の会社です。OB訪問で会った先輩達の印象が良く、押しが強くなくて、働き易そうだと思ったのも決め手の一つでした。

幸いにして、この三つの夢は、入社10年目までに全て叶いましたので、幸せな会社人生だと思っています。ただ、社会人になる前に抱いていた夢を達成してしまって以降は、「いつまでも職業=会社員という人生で自分は満足なのか?」という思いがずっと消えずに燻っています。

特に海外駐在の任期を終えて、日本に戻ってからは、職業=会社員という人生の出口をどこに設定するか、常に思案してきました。

日本に帰国した当初は、海外への郷愁の思いが強かったので、再び海外に出る機会を狙っていました。ところが、帰国して待っていた仕事はかなりの激務だったので、肉体的にも精神的にも疲弊する毎日を過ごすことになってしまい、思いを実現に向かわせるための行動が出来ませんでした。結果的にそのまま今に至っても、職業=会社員を継続しています。

なぜ、心に疑問を感じながらも、職業=会社員を続けているのか? 現実的な理由、〜家族をどう養うのか、ここまでやって勿体ないかなあ、世間体はどうなのか〜は間違いなくあるにせよ、根本的な原因は、私がずっと悩まされている問題である「なりたい職業がない」ということに尽きます。

これまでは、この根本的な問題を解決しない限りは今の生活を続けるしかない‥と、ずっと思い込んでいました。

しかし、ようやく最近になって、なりたい職業を探し求めること自体がナンセンスだと悟り始めています。そもそも50年以上生きてきて、未だに確たる答えが見つからないのだから、もう答えを探すのは諦めた方がいい、と思っています。

なので、もっと軽いノリで、なりたい職業なんてないけど、何でもいいから、損得考えずに、ちょっと面白そうだと思ったら、今とは違う挑戦を始めてみたらいいのではないか‥ 世間の常識には反しますが、そんな心境なのです。

今宵はこのあたりで‥

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