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2019箱根駅伝(復路)観戦記

駅伝観戦三昧のお正月、最終日は箱根駅伝(復路)となります。

6区 20.8km(箱根芦ノ湖〜小田原)

往路は東洋大学が快心のレースで2年連続優勝を飾りました。首位の東洋大学の6区は、二年連続起用の今西選手です。最大のライバルで昨年区間賞を獲得している青山学院大学の小野田選手は、5分30秒後ろからのスタート。当面のライバルは、1分14秒差で往路2位につけた東海大学の中島選手となります。中島選手も、東海大学黄金世代(3年生)の一人で、昨年6区2位と好走した山下りの名手ですので、好勝負が期待されました。

今西選手はスタートから積極的に飛ばし、首位を守って7区に中継。昨年の自身の記録を上回る58分12秒の快走で、見事に責任を果たしました。2位の中島選手は今西選手を上回る58分6秒で走破し、若干ながらも首位との差を詰めてきました。3位には健闘の國學院大学をかわした駒澤大学。王者・青山学院大学は、四年連続出場の小野田選手が流石の走りを披露。ラスト3kmからの平地でも勢いは衰えず、57分57秒の区間新記録で、法政大学を抜いて5位まで上がってきましたが、首位とはまだ5分以上の差があります。今大会は、コンディションに恵まれた中、実力者が実力通りに走り、各区間好記録連発となっています。

7区 21.3km(小田原〜平塚)

東洋大学はここまで順調な流れで首位をキープ。この区間には、各駅伝でいぶし銀の力を発揮してきた主将の小笹選手を起用。一方の追う東海大学の阪口選手は、同校黄金世代のエース格で、昨年は2区を担当した強敵だけに予断を許さない展開になりそうです。

コース中盤を過ぎてから両雄の差はジリジリとつまりはじめ、中継点では秒差まで縮まりました。8〜10区の顔触れを見ると、層の厚い東海大学に分がありそうです。

後方では区間記録保持者の青山学院大学・林選手が今年も淡々と力走し、昨年自身が樹立した区間記録には2秒及ばなかったものの、二年連続の区間賞で、駒澤大学を抜いてチームを3位まで押し上げました。青山学院大学は連続区間賞でようやく追撃態勢になってきましたが、トップとは依然として4分近い差があり、逆転優勝は難しい状況となってきました。

8区 21.4km(平塚〜戸塚)

中継してすぐに東海大学の3年生、小松選手が、東洋大学の1年生、鈴木選手の背後につけ、虎視眈々とレースを進めます。小松選手は自信に満ち溢れた力強い走りで、勝負所の遊行寺の坂の手前でペースを上げて前に出ると、鈴木選手は付いていけず、以降は距離を踏むごとに、差が開いていきます。

小松選手はその後も快調なペースを刻み続け、山梨学院大学・古田選手が持つ大会最古の区間記録を更新する殊勲の走りで9区へと中継しました。東海大学は、チームとしては今回のレースで最初の区間賞で、初めてトップで襷を繋ぎました。

抜かれた東洋大学は51秒差の2位へと後退。1年生の飯田選手が好走した青山学院大学が単独3位を走り、実力発揮の駒澤大学が4位。健闘の法政大学が5位、國學院大学が6位でレースを進めていきます。

9区 23.1㎞(戸塚〜鶴見)

勝負も終盤、復路のエース区間へ。大殊勲の小松選手から襷を受け取った東海大学の主将、湊谷選手はセーフティリードを持って冷静な走りです。オーバーペース気味に追ってくる箱根初出走の東洋大学・中村選手に対して、慌てずにマイペースを刻み、10kmあたりから徐々に引き離していきます。昨年も経験したコースを終始自信溢れる走りで走破。鶴見中継点では、東洋大学との差を3分35秒まで開き、首位独走の体制を築きました。これぞ頼れる主将の仕事です。

その後方では、青山学院大学の成長株、2年生の吉田圭太選手が前評判通りの実力を発揮し、1時間8分台の好記録で区間賞を獲得。2位東洋大学に8秒差まで詰め寄りました。吉田圭太選手はこれで今シーズンの三大駅伝全て区間賞という偉業達成です。青山学院大学は復路3つ目の区間賞獲得となり、復路優勝が濃厚となってきました。

10区 23.0㎞(鶴見〜大手町)

いよいよ最終区。余程のアクシデントがない限り首位逆転は難しいほどのセーフティリードを保って東海大学の3年生アンカー、郡司選手が大手町のゴールを目指します。終始安定した走りを崩すことなく、東京都内に戻ってビル風の影響を受けると、運営管理車の中から両角監督の的確な指示も飛び、およそブレーキは起こしそうな気配はありません。

後方では、中継して間もなく東洋大学を抜いて2位にあがった青山学院大学の鈴木選手が区間賞ペースで懸命に追い上げますが、思ったように差は縮まりません。郡司選手は余裕を保ったまま、大歓声の中、大会新記録のタイムで大手町のゴールテープを切りました。2位は優勝候補筆頭だった青山学院大学、3位には往路優勝でレースを盛り上げた東洋大学と下馬評の高かった三強が上位を占めました。

4位には予選から勝ち上がった平成の常勝軍団、駒澤大学、5位には復路に強い選手が揃い、10区の星選手が区間賞を獲得した帝京大学、6位には地力があると言われている選手が期待通りに走った法政大学が躍進しました。

総評

優勝した東海大学は往路・復路とも2位で、区間賞も8区で値千金の区間新を叩き出した小松選手の1つだけながら、大きなブレーキが1つもなく、出場した全選手が、きちんと力を出し切った完璧なレースでした。

高校時代に実績のある華やかなイメージのある選手達が、適材適所で自分達の役割を果たし、泥臭くチームの勝利に貢献しました。これぞ駅伝の醍醐味と言えるでしょう。

2位の青山学院大学は、復路では底力を発揮しましたが、往路で区間2桁順位が3区間もあり、区間賞を4つ(内、区間新が2つ)も取りながら個人の活躍をチームの結果に活かせませんでした。

東洋大学は、学生トップクラスの実力を持つエース3人が期待通りに走った往路では優勝を飾ったものの、復路の選手層の厚さで、東海、青学に一歩劣っていた印象です。

箱根駅伝が終わってしまうと、お正月が終わってしまった感覚になり寂しいですが、また来年のレースが楽しみです。

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