名言が与えてくれるもの⑱:国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何を成すことができるのかを問うて欲しい
誰もが心に響いた名言を持っているものです。名言が与えてくれるものシリーズの第18回で取り上げるのは、ジョン・F・ケネディのことばです。
ジョン・F・ケネディ大統領就任演説
ジョン・F・ケネディ (John Fitzgerald Kennedy 1917/5/29-1963/11/22)は、歴代の米国大統領の中で、今でもトップクラスの人気があります。1960年の大統領選挙に、民主党選出の大統領候補として出馬したケネディは、共和党選出の大統領候補、老練なリチャード・ニクソン(Richard Milhaus Nixon 1913/1/9-1994/4/22)を僅差で破り、43歳236日という史上二番目(1位は第26代大統領セオドア・ルーズベルトの42歳322日)の若さで第35代米国大統領に就任しました。
本日の名言『国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何を成すことができるのかを問うて欲しい』は、1961年1月20日、積雪残る極寒の首都、ワシントンD.C.で行われた大統領就任演説の中で語られたことばです。原文は以下の通りです。
就任演説に込められた思い
この大統領就任演説は、旧約聖書、新約聖書に由来するフレーズを随所に引用しつつ、ケネディ自身が事前に何度も何度も推敲の筆を入れて練り上げた格調高いもので、歴史的な名演説だと言われています。私も英語学習用の教材として使い、この肉声音源を何度も何度も聞きました。
当時は、米国を中心とする資本主義陣営とソ連を中心とする共産主義陣営との政治的対立があり、「冷戦(Cold War)」と呼ばれる緊迫した国際情勢下にありました。米国は、国内に経済不況や人種差別などの深刻な問題を抱えており、期待を背負って船出した若い大統領の責任は重大でした。
自由の崇高さを信じ、若くハンサムで、理想主義的政策を推し進めたケネディは、大衆からの高い人気と支持を得た反面、軍産複合体の既得権益にも鋭く切り込んだ為に反対勢力からは徹底的に忌避されました。米国民からの希望と憎悪を背負って邁進してきたケネディは、1963年11月22日、遊説先のテキサス州ダラス市内でのパレード中に狙撃され、銃弾に斃れます。大統領就任からわずか2年と10ヵ月、46歳での悲劇の死でした。
受け身ではなく…
国に依存するのではなく、自分が自発的に国に貢献できることを考えよ、と促すこのことばは、私にとって、自分の人生をどのように生きるか、基本的な姿勢を考えるきっかけを与えてくれることばでした。自分がやりたいことは、覚悟を決めて自発的に道を切り拓いていく必要があります。
夢や希望を抱き、日々自分を磨き、周囲に貢献して認められようと必死に努力を重ねたとしても、時代背景や、運や、自己の能力や、置かれた環境に左右されて、なかなか自分の思うようにはならないものです。
降りかかってくる予期せぬ運命に翻弄され続けると、信じた道を切り拓こうという気力は大きく揺さ振られ、心は削られ続けます。いつしか夢や理想を諦め、流れに身を任せて受け身になってしまうことだってあります。自分の大切な人生が周囲の意向でがんじがらめにされ、窮屈な日々を強いられて悶々とする経験をするかもしれません。
そのような意図せぬ境遇に直面した時こそ、原点を思い出し、理想を問い直し、しなやかにもがき続けることが大切だと考えてます。今現在が辛い状況にあっても、利他的であることと利己的であることのバランスを取って、したたかに生き抜いていきたいものです。
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