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あの頃好きだった曲❶…『花』と『さくら』

本日のnoteは、『あの頃好きだった曲』として、私が米国駐在を終えて日本に帰国した2005年によく耳にした二曲を振り返ります。

失意の日本帰国

私と妻は、2005年6月11日の土曜日に日本に帰国しました。妻と二人で成田空港から大きな荷物を抱えて電車を乗り継ぎ、その夜は東京都内の妻の実家へと落ち着きました。それから二日後の月曜日、私は時差ボケが完全には取れないまま、東京本社の新しい配属先に出社しました。慌ただしい日本での生活の始まりでした。

新しい住まいは、社宅になっていた千葉県浦安市のマンションの5階で、アメリカ時代に住んでいた家の1/4くらいの広さしかない3LDKでした。船便荷物を受け取り、生活に必要なモノを買い揃え、運転免許の更新やら各種の手続きを済ませて、新生活のセットアップがどうにかこうにか整ったのは7月の後半頃だったと思います。

私はアメリカ・デトロイトでの生活にも仕事にも愛着を感じていて、会社には後1~2年はアメリカで研鑽と経験を積みたいと希望を出していました。なので、このタイミングでの転勤辞令はかなりのショックで、大きな失望を抱えての帰国でした。

帰国した私を待っていたのは、これまで携わったことのない分野の膨大な仕事と何やら重たい業務上の責任でした。日々慣れない仕事を懸命に捌きながら、2005年後半は慌ただしく過ぎていきました。これまでの社会人生活の中でも一番多忙で、肉体的にも精神的にもしんどかった時期かもしれません。

2005年には、この本帰国以前にも、1月に出張(含む休暇)で、5月には、亡くなった義父のお通夜とお葬式で、帰国後の12月には米国出張で、計四回も日本-アメリカ間を往復しています。2005年は、私にとって変化の振幅が大きい非常にダイナミックな一年でした。

帰国後しばらくはアメリカ生活に対して未練たらたらで、精神的にはギリギリの状態で踏ん張っていました。その不満が日々の言葉や態度に出ていたと思います。そんな2005年によく耳にしていたのがこの二曲です。

ORANGE RANGE『花』

『花』は、ORANGE RANGEの8枚目のシングルとして2004年10月20日に発売されています。この曲を初めて知ったのは、1月の日本出張時でした。

空き時間に立ち寄ったCDショップで流れているのを耳にして「これ、いい曲だなあ……」と思ったのがきっかけでした。出会った時の情景は、今でもよく覚えています。その時は、ORANGE RANGEというアーティスト名も、『花』という題名も知りませんでした。

この曲が、竹内結子・中村獅童主演の映画『いま、会いにゆきます』(2004年10月公開)の主題歌であったことは知ったのは、つい最近のことです。昨年急逝した竹内結子さんの代表作ですが、設定があまりに切な過ぎて、未だに最後まで観る勇気の出ない映画の一つです。

2005年当時は、日本中のカラオケシーンで歌われていて、歓送迎会や忘年会の後の二次会のカラオケで誰かが絶唱するのをよく聞きました。個人的にはひとりでしんみりと聴きたい楽曲です。

ケツメイシ『さくら』

『さくら』は、ケツメイシの11枚目のシングルとして2005年2月16日に発売されています。この曲との出会いの状況はよく覚えていません。この曲もカラオケで『花』同様よく歌われていました。

さくらが題材の楽曲は非常に多いですが、私はこの曲が一番好きです。さくらの季節だけでなく、いつ聴いても心の琴線を揺さ振られます。

さくらは、日本を象徴する代表的な花です。アメリカ生活中にもさくらを目にすることはありましたが、やはり日本の風景によく似合う花です。毎年春の季節に目にする満開のさくらには特別な感慨が沸き起こります。

今思えば、当時アメリカ生活に未練たらたらだった私に、この曲は「早く目を覚ませ! お前の生き抜くべき場所はここなんだよ。腹を括れ!」と訴えかけていたのかもしれません。

首都圏の一都三県に、緊急事態宣言が出されることが決定し、再び先行きに暗雲が立ち込めてきました。なぜか、あの慌ただしかった激動の2005年の記憶を思い出しました。


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