見出し画像

『コロナ後の世界』を読む❷

本日の読書感想文は、『コロナ後の世界』❷ーAIで人類はレジリエントになれる by マックス・テグマーク(P49-77)です。

【目次】
❶ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』の著者
❷マックス・テグマークス『Life3.0』の著者
❸リンダ・グラットン『ライフ・シフト』の著者
❹スティーブン・ビンカー『暴力の人類史』の著者
❺スコット・ギャロウェイ『the four GAFA』の著者
❻ポール・クルーグマン ノーベル経済学賞受賞者

マックス・テグマーク氏とは

マックス・テグマーク(Max Erik Tegmark、1967年5月5日 - )氏はスウェーデン出身の物理学者・理論物理学者。マサチューセッツ工科大学(MIT)教授です。AIと人間の共存をテーマにした可能性と提言をまとめたベストセラー『Life3.0』の著者です。

記述内容の抜粋より

✔ 新型コロナウイルスによって、人類が思ったほどレジリエント(強靭で柔軟)でないことが明らかになった。(P51-52)
✔ パンデミックと戦うことは情報戦。AI技術的には、接触追跡など個人情報ビッグデータの把握とプライベートの保護の両立は可能。(P52-56)
✔ ワクチン、抗ウイルス薬開発にもAIが役立つ(P56-59)
✔ 自力で知識を獲得する自律性があり、状況を読み解いて推論する能力を持つ汎用型AI(AGI)が将来のある時点で誕生する。人類の明るい未来のためAGIをどう活用するかを今から決めておく必要がある。(P59-60)
✔ 知能=複雑な目的を達成する能力。テクノロジーはゆっくり進歩する。技術の進歩でAI自身がアルゴリズムを作り出すので、従来のように膨大な量のデータ入手がAI開発のアドバンテージになり難い。(P61-65)
✔ AIによる自動兵器の問題は具体的なリスク。社会が一気に不安定化する前に規制すべき(P65-67)
✔ 一方で明るい未来の創出へ、環境・エネルギー分野やヘルスケア、経済分野のAI活用が期待できる。重要なのは、その儲けが一部の株主や投資家に渡るのではなく、世界中のすべての人にシェアされる仕組みを作ること。そうでないとAIは格差を更に広げることになる。(P67-69)
✔ あらゆる職種において「AIで何ができるかを理解し、うまく活用できる人」が生き残り、そうでない人は負ける。(P69-70)
✔ これからの時代に生きる人は、一度職に就いたら四十年間同じことをやり続ければよいという考えをまず捨てなければなりません(P70)
✔ 一度AGIが完成すれば、その瞬間にテクノロジーの発展は我々ではなく、AGIによってなされることになる。つまり、人間は地球上で最も知能の高い生物ではなくなる。(P72)
✔ AIが強くなると従来の「失敗から学ぶ」が通用しなくなる。AIの開発に安全工学の考え方を応用する必要がある。AGIの一回の失敗が人類の終焉を引き起こすリスクもある。(P72-74)
✔ AGIの危機管理対策としては、私たちと同じ価値観を持ち、人間を大事にするAGIを安全工学的に作ってしまおうという立場を支持➡越えてはならない一線を引くべき(P75-76)

所見

私は最新のテクノロジー動向に疎く、AI(Artificial Intelligence)に『人工知能』という日本語訳をあてることが適当なのか、AIは何を動力として駆動するのか、といった基礎的なことすら理解していないので、ここに記述されている内容を無条件に信じてしまいます。

どうやら私がこの世を去るまでには、人類の知能の総和をしのぎ、制御困難なAGIが誕生するようです。いかに著者が明るい未来を提示してくれても、いよいよ人類滅亡、ディストピアが現実になってきた、とおそろしい気分に襲われました。一度AGIによって『不適当』『不要』と判断された人間は殺処分対象になる、という怖い世の中を作ることも可能ということです。

そして少なくとも現在の技術進化状況は、「汎用型」は完成されていないことと「AIにできること、できないこと」を議論すべき段階ではなく、「AIを活用すべきこと、規制すべきことの区分」を真剣に考える段階である、ということは理解しました。

現在、実用化されている「特化型」AIは、使用すべき目的と用途と能力の上限が人間によって規定されています。AIの成長スピードと蓄積する思考能力と解決能力と実行能力は既に並の人間の脳を凌駕しています。

現在は過渡期、人類が主導権をAIに譲り渡すカウントダウン段階と言えるかもしれません。「世の中に役に立つ機能を実装する人」を目標や基軸に生きるとこれから辛い人生になりそうです。



この記事が参加している募集

#読書感想文

189,831件

サポートして頂けると大変励みになります。自分の綴る文章が少しでも読んでいただける方の日々の潤いになれば嬉しいです。