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年末年始の読書計画

昨日で仕事納めだったので、本日早朝に松本を立って、昼過ぎに横浜の自宅へと戻ってきました。

最愛の息子は私の帰宅に大喜び!‥‥
することもなく、テレビを観ながら「おかえりなさ~い」という気持ちのこもっていない歓迎を受けました。苦笑するしかありませんでした。私よりも、私の使っているスマホを待ち侘びていたようです。

さて、本日のnoteでは、年末年始の読書予定を備忘の為に残しておこうと思います。

①岡田斗司夫『「世界征服」は可能か?』(ちくまプリマ―新書2007)

オタキングこと、岡田斗司夫氏が著作や動画で語っている内容はかなり面白いです。自分には到底思いつかない鋭い視点に触れられるので、定期的にチェックしています。本書は2007年の初版ですが、今読んでも通用する視座が満載でした。(2021/12/30読了)

世界征服を企む秘密結社は、何を目的にコスパの悪そうな世界征服に挑むのか? どういう手順を踏めば世界征服は可能なのか? と順に掘り下げていく構成がユニークです。そして、世界征服を達成した後の制度設計と運営の難しさを解明していきます。

種明かしになってしまいますが、

「悪とは、その時代の価値・秩序基準を破壊すること」

という結論に到達します。『現代の価値・秩序基準』とは、「自由主義経済」と「情報の自由化」であるとします。そして、自由主義経済(あるいは自由経済原理)の根本的欠陥を、

強者を肯定し、弱者を軽蔑する理論(P184)

「情報の自由化」(あるいは階級の無意味化)の暗黒面を、

個人から信念や価値観や考える力を奪い、社会風潮やネット内での流行り=「祭り」のみで生きることを当たり前と思わせる文化(P184)

と説明しています。これら現在の社会を安定させている価値・秩序基準を破壊することこそ、「悪」であり、世界征服を目指す悪人のすることだという説明には納得がいきました。

本書が、2006年時点で書かれているのが驚きでした。毎度、先見性がすごいなあと驚かされます。

②慎快康之『ミシェル・フーコーー自己から抜け出すための哲学』(岩波新書2019)

20世紀フランスの哲学者、思想家のミシェル・フーコー(Michel Foucault、1926/10/15-1984/6/25)の思想については、構造主義に興味を持って以来、触れておきたいと思っていたので、入門用に本書を入手しました。

フーコーは、私が高校・大学時代に、知的好奇心の強い人々の間では読むのが常識になっていましたが、当時の私の能力では全く手出しができませんでした。30数年の月日を経て、やっと挑戦してみます。

③宇沢弘文『社会的共通資本』(岩波新書2000)

世界的な経済学者、宇沢弘文(1928/7/21-2014/9/18)氏の提唱した『社会的共通資本』の理論が再注目されているのは知っていました。

宇沢氏の『社会的共通資本』を核とする経済学は、マルクス経済学でも、新古典派経済学でもない、新たな体系を構想するものとされます。その壮大な理論が平易に解説された入門書的存在とも言われる本書は、いつもより丁寧に読み進めたいと考えています。

ゆたかな社会とは、すべての人々が、その先天的、後天的資質と能力とを充分に生かし、それぞれのもっている夢とアスピレーションが最大限に実現できるような仕事にたずさわり、その私的、社会的貢献に相応しい所得を得て、幸福で、安定的な家庭を営み、できるだけ多様な社会的接触をもち、文化的水準の高い一生をおくることができるような社会である。(P2)

という見事な記述に魅せられます。

④ ビル・ゲイツ『地球の未来のため僕が決断したこと』(早川書房2021)

話題の書です。ビル・ゲイツ(William Henry "Bill" Gates III 1955/10/28- )氏は、今やマイクロソフト創業者、企業経営者という枠をはるかに超越し、その発言や行動が、世界中に影響力を与える人物です。近年は、社会問題に立ち向かう活動家という存在です。今の彼の持つ力を結集すれば、現代最高峰の知や人にアクセスすることが可能であり、大多数の人類にとって限りなく正解に近い解決策をはじき出すことが可能です。少なくとも、特定の重要な問題についての議論の潮流を左右する絶大な影響力を持ちます。

気候変動問題に関しても例外ではなく、圧倒的な情報量と知識量をベースに、この書が書かれていることが伺えます。おそらく、日本政府要人の情報量や知識量を軽く凌駕していると思われます。こういった書を世に出したということは、気候変動問題について、彼は本気なのだろうと思います。内容をどう受け止めるかはともかく、読む価値は高いと判断しています。

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