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過去は美化されるもの

本日は『過去は美化されるもの』というテーマで掘り下げてみます。

思い出はその時の状況で意味が変化する

過去に失敗して恥ずかしかった経験や辛くて沈んでいた時期を、「今となってはいい思い出だった」と美化していることがあります。時間が経過すると、当時の後ろ向きな気持ちは薄れ、起こった出来事への評価を書き換える作業が行われるようです。特に現在が充実している場合はその傾向が強くなります。

『私の履歴書』のパターン

典型的な例として私が思い浮かぶのは、日本経済新聞に連載されている「私の履歴書」です。色んな分野で成功を収めた人が、自らの半生を1カ月かけて回想録風に綴っていく人気の連載企画です。執筆する人が、自らの失敗事例やどん底時代をあけすけに語っていても、最終的には「あの経験が大きかった」と繋がっていくパターンです。

世間的に成功者と考えられている人なので、結果オーライという訳です。苦難の時期が一つや二つないと、ドラマチックではありませんし、読者も成功続きの人には共感しません。

自己防衛か?

過去の記憶が、振り返った時期によってすり替わってしまうのは、自己防衛かもしれません。人間の脳には、辛い感情を忘れさせたり、和らげさせたりする機能が備わっているという話もあります。「現在」が「過去」になっていく過程で、自分にとってのネガティブな面が削ぎ落され、自分に都合が良いかたちで記憶されていくということなのだと思います。

後日振り返った時に、明らかな事実の捏造はいけませんが、自分の視点で再評価することは許されるように思います。

今はやり過ごす励みに

「過去は必ず美化される」と考えれば、今どんなに苦しい状況で耐えていても望みを捨ててはいけないという発想になるかもしれません。厳しい状況から這い上がった後に、「あの辛い経験が原動力になった」と言えればいいのです。今の苦しい状況をやり過ごす励みにできます。

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