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あの頃好きだった曲⓯:シングルベッド

本日は、『あの頃好きだった曲』シリーズの第十五弾として、シャランQ『シングルベッド』(1994)を選んでみました。当時の時代背景とともに綴ってみたいと思います。

昔聴いていた曲に浸りたい夜

部屋に一人で居ると、昔好きだった音楽を、無性に聴きたくなる夜があります。今夜は、そんな気分に支配された夜です。ラジオからランダムに流れて来る楽曲との予期せぬ出会いに心ときめくのもいいですが、今夜はマニュアルで、自分の記憶を頼りに一曲一曲丹念に音源を探し当てて聴いています。

今は本当に便利な時代になって、CDのようなコレクションしている音源を持っていなくても、YouTubeやSpotifyを漁れば、サビだけしか覚えていなかったような懐かしい楽曲でも簡単にアクセスできてしまいます。今夜チョイスした『シングルベッド』は、私が引っ張り出す楽曲から芋づる式に引き出された一曲です。

辿り着くまでの至福の時間

『シングルベッド』に辿り着くまで、松山千春『人生の空から』(1980)、DREAMS COME TRUE『晴れたらいいね』(1992)、山本コウタロー、ウィークエンド『岬めぐり』(1974)、King & Prince『シンデレラガール』(2018)、ZONE『secret base~君がくれたもの~』(1994)、杏里『CAT'S EYE』(1983)と、何の脈略もなく変遷していきました。検索している時は、必死にFM放送からエアチェックをしていた中学や高校の頃に戻ったようで、本当に楽しい時間でした。手間暇かけて味わうのも、また一興です。

90年代の音楽シーンを彩ったシャ乱Q

さて、1990年代の音楽シーンで一世を風靡したシャ乱Qは、1980年代後半に大阪を拠点に活動していた5人で結成されたバンドです。シャ乱Qという奇天烈なバンド名は、メンバーが所属していた「シャッターズ」(しゅう〈B〉、まこと〈Ds〉が所属)「RAM(乱)」(つんく〈Vo〉、しゅう、たいせー〈Kb〉が所属)「QP(キューピー)」(はたけ〈G, B〉が所属)を合体させて名付けられたと言われています。メンバーはいずれも1968~1969年生まれで、私と完全に同世代です。

私がシャ乱Qというバンドの存在を知ることになるのは、1994年にスマッシュヒットした『上・京・物・語』でした。つんくの独特の色っぽい歌声が耳に残る印象を持っていました。そして、翌1995年の『ズルい女』が大ヒットし、バンドは一気にメジャーな人気を獲得するのですが、その合間に発表されたこの『シングルベッド』こそ、私は彼ら最高の名曲だと位置付けています。サビの、

シングルベットで夢とお前抱いてた頃
くだらない事だって、二人で笑えたね

シャ乱Q『シングルベッド』作詞:つんく、作曲:はたけ

という部分は特に好きで、カラオケでもよく歌いました。私の声の音域とも相性が良くて、気持ちよく歌い切れる一曲でした。

中心人物だったつんくは、後にプロデューサー、コンポーザーとしてもマルチな才能を発揮し、国民的女性アイドルグループのモーニング娘。を育て上げたことでビッグな存在となりました。2014年10月に声帯全摘出手術によって、声を喪ってしまった後も、精力的に活動を続けています。

当時の暗い記憶と繋がっている曲

自分の人生の中で、1996年から1999年くらいまでは、プライベートに特筆すべき強い記憶が残っておらず、運勢的には停滞期、次のステージへ向かう為の価値観を転換させる雌伏期でした。

独身寮の薄暗い部屋のベッドに寝転んでいる時、テレビからこの曲が流れてきて天井を見上げたこと、ひとりクルマを運転している時、ラジオから流れてきて涙を流しながら口ずさんだこと、を思い出します。この曲は、気分が鬱々、悶々として、時としてダークサイドに転げ落ちそうになる時、運命的に踏み止まらせてくれていました。私にとってのお守りのような曲なんだと思います。

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