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『シン・仮面ライダー』を観る

本日は、今年3月に公開された映画『シン・仮面ライダー』の鑑賞記です。

見逃してしまった映画

庵野秀明監督・脚本で、仮面ライダーが映画化されるということで、去年から公開を心待ちにしていた一作でした。庵野氏自身が、石ノ森章太郎原作の大ファンだと言われていたし、並々ならぬ情熱と拘りを注ぎ込んで映像化するだろうことは想像していました。

ただ、公開期間の3〜5月頃は何かと慌ただしく過ごしていて、映画館に行くのを後回しすることを繰り返しているうちに、気がつくと上映が終わっていました。聞こえてきた評価は賛否両論で、正直観るのを迷っていました。本日ようやく、amazon primeで鑑賞する機会が作れました。

細部への徹底的な拘りと娯楽との両立

主要キャストでは、仮面ライダー1号、本郷猛を池松壮亮、仮面ライダー2号、一文字隼人を柄本佑、ヒロインの緑川ルリ子を浜辺美波が演じています。悪役のSHOCKERのオーグ(人間と昆虫や動物とのオーグメントの意味)を演じているのも豪華俳優陣です。

随所に現代的再解釈が施されており、たとえば、SHOCKERは、Sustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling(計算機知識を組み込んだ再造形による持続可能な幸福組織)という意味に変換されています。

仮面ライダー(及び愛車サイクロン)の容姿は、ウルトラマン同様にオリジナルに忠実に再現されており、徹底的に拘った感が伺えました。ストーリーや役者の演技よりも、庵野監督が好きだったのであろうショッカー怪人、蜘蛛男、蝙蝠男、蠍女、蜂女、蟷螂男のオマージュになっているオーグとの迫力満点の戦闘シーンとサイクロンでの疾走シーンの連続を楽しむための映画だと思いました。

とはいえ、手練れの庵野監督と製作陣の苦心で、万人が楽しめるような娯楽作品へと仕上がっています。ただ庵野作品の傾向として、ヒロインのキャラクター設定(ずば抜けた頭脳の持ち主)と演じる女優さんの雰囲気とに微妙なギャップがあり、セリフや行動に上滑り感や浮き上がった感じを抱いてしまいます。本作の浜辺美波も、陰のあるキャラクターをすごく熱演していたとは思うものの、『シン・ゴジラ』の時の石原さとみ、『シン・ウルトラマン』の時の長澤まさみ、と似た現象が起こっていたように思いました。

小ネタに思わずニンマリ

『仮面ライダー』は、小学生・中学生の頃、再放送で繰り返し観た番組なので、私にもそれなりの思い入れがあります。圧倒的な映像美(庵野作品は、人物描写より背景描写により力が入っているように思える)が見所ですが、随所に挿入されている小ネタも嬉しいものがあります。

ライダーと言えば、ダムでの怪人との対決が見せ場の一つであり、前半のクモオーグとの戦いのシーンは、その再現がされていたのは最高でした。

小ネタで一番面白かったのは、政府側の人間として登場する竹野内豊と斎藤工の名前が、立花と滝だと明らかになるシーンでした。仮面ライダーシリーズでライダーを助ける立花藤兵衛(おやっさん)とバディ役だった滝和也から持ってきていることは明らかでしょう。

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