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『アルキメデスの大戦』を観る

本日は、映画『アルキメデスの大戦』(2019)の感想です。amazon primeで楽しませて頂きました。


話題になった漫画の映画化

原作は、『ドラゴン桜』で有名な三田紀房氏(1958/1/4-)が、ヤングマガジンに2015年から連載中の漫画です。かなり評判になっていた作品であり、現在も連載が続いています。

映画は、2019年7月に公開されています。監督・脚本は、長野県松本市出身で、『ALWAYS三丁目の夕日』『永遠の0』で知られる山崎貴氏(1964/6/12-)です。主人公の天才数学者、櫂直(かいただし)は、菅田将暉(1993/2/1-)が演じています。実力ある俳優が多数起用されて脇を固めている大作です。

私は原作を読んでいません。昭和初期からの日本の運命を辿る壮大な歴史物語になっているようです。この映画版では、新型戦艦建造計画を巡る偽造工作を、優れた頭脳を持つ櫂が暴く物語にフォーカスされた内容となっています。私は幼少時に軍艦好きだったので、ある程度下地となる知識もあり、かなり、面白く観ることができました。

戦艦大和を巡る物語

映画は、戦艦大和が坊ノ岬沖海戦で米航空機の攻撃を受けて被弾し、沈没する場面からはじまります。種明かしになりますが、この映画の中で、戦艦大和は日本の象徴そのものとして描かれています。大和が海に沈むシーンは、沈みゆく現在の日本とダブるようにも感じられます。

そして、物語は1933年へと遡り、新造艦の建設を巡って海軍内での駆け引きが行われるシーンから話が展開していきます。海軍大臣・大角岑生大将(小林克也)、空母推進派の永野修身中将(國村隼)、山本五十六少将(舘ひろし=かなり似てます)、戦艦推進派の嶋田繁太郎少将(橋爪功)は実在した人物です。

造船技官は、架空の人物に変えられていますが、空母設計者の藤岡少将(山崎一)、戦艦設計者の平山中将(田中泯=かっこいいです)のモデルは、それぞれ海軍を代表する艦船設計者であった藤本喜久雄、平賀譲であることが想像されます。

櫂の敵役と思われた平山が、櫂を海軍技術研究所に呼び出し、戦艦大和の1/20スケール模型を見せながら、日本の行く末を慮って会話するシーンは映画のハイライトシーンと言っていいかもしれません。

達者な役者たち

櫂少佐役の菅田将暉、櫂少佐の副官・田中少尉を演じた柄本佑、ヒロイン・尾崎鏡子役の浜辺美波が、民間造船会社の大里社長(笑福亭鶴瓶)とやりあうシーンも楽しく見れました。次から次へとヒット作・話題作に主演している菅田将暉は、若手No.1俳優という評価が納得の、いい役者だと思います。

今年で太平洋戦争敗戦から77年になります。昭和時代は徐々に歴史になろうとしています。今後も新たな史料解釈に基づいた作品が作られていきそうな気がします。

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