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『職人』イメージが復権しているのか?

『〇〇職人』というネーミングから

朝、外出先に直行する途上で目にした商品広告に「焼酎職人」という商品がありました。この所、「〇〇職人」というネーミングを目にしたり、耳にしたりする機会が増えており、少し掘り下げて考えてみることにしました。

『ものつくり』への尊敬

日本では「ものつくり」が割と好意的に捉えられる機会が多く、職人のイメージは、そんなに悪いものではないように思います。

【職人(しょくにん)】
①手先の技術によって物を製作することを職業とする人。大工・左官・指物さしもの師など。
〈文明本節用集〉②中世の手工業組織であるギルド・座などで、親方の下で生産に従事した雇人。‥ 広辞苑より

「職人」には、高度な技術を持ちながら、口数少なく寡黙に仕事に打ち込む、みたいなイメージがあります。特に田舎では、実体あるモノを産み出す職人仕事は、クリエイティブ系や口先商売よりもリスペクト度が高いような気がします。日本特有の現象かもしれませんが、外国人にも日本の職人仕事に憧れや尊敬を抱いている人が少なくありません。

子供の頃の思い出

私が子供の頃、「江戸時代なら、士農工商のどれに生まれたいか?」という話題になることがありました。その時は、私を含め、「工」を選ぶ子供が少なからずいました。

✔ 武士は大名クラスではなく、下っ端侍だと戦で真っ先に突撃しないといけない
✔ 農民は朝から晩までひたすら働かされた上、年貢で搾取され放題
✔ 商品を右から左に流して利ザヤで儲ける商人はイメージがよくない 

という訳で、消去法で選んでいた気がします。

私の父は技術屋だったので、育った環境からも自然にそういう価値観になったのだと思います。今でも、何か手に職のある人には憧れがあります。

職人へのマイナスイメージ

一方で、職人のマイナスイメージの一つには、窮屈な徒弟制度の存在があるかもしれません。

ものつくりの工房に入門した弟子は、頑固で偏屈な親方に絶対服従させられるというイメージがありました。「技は盗んで覚えろ」が当たり前で、効果的な指導は受けられず、何年も下積みの修行時代が続くのは、些かしんどいという風に思っても不思議ではありません。

今では、こんなような昭和時代の調子でやっていては、普通にパワハラが横行するブラック職場になってしまうので、だいぶ状況は改善されていると思いますが、親方の意識の中には、今でも少なからず修業=下積み文化は残っていそうです。

次に、職人のマイナスイメージには、機械や技術の発展により、多くの職人仕事は機械に代替され、絶滅種になってしまうことがあります。他の職人と切磋琢磨するのではなく、精密機械やロボットや文明の利器との競争に晒されるのです。

機械の機能の進歩はとめどがないので、これまで人間がやることが当り前と考えられていた仕事を、機械が代わりに安く片付けるようになる光景はこれからも絶えることはないでしょう。

ごくごく一部に、ノスタルジックに手作りにこだわるニーズは残り、生き残って重宝される職人技術もあると思いますが、大半は経済合理性や効率性の波に流されてしまう運命かもしれません。

令和の時代の職人

では、令和の時代の職人はどうなるのでしょう? 

職人芸は、日銭を稼ぐ仕事技術としてではなく、パフォーマンスと評価されて、生き残るのではないでしょうか?

 昔の人なら誰でも出来たことでも、現代人には出来ない、存在すら忘れ去られている技術は、探せば結構ありそうです。そんな時代が来ればアナログが身近だった私にも可能性があるかもしれません。

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