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東京一極集中状態の解消~トカイナカ

日本の東京一極集中状態という問題については、社会人になった30年以上前からずっと関心がありました。皮肉にもコロナ禍でリモートワークという働き方が定着したことで、最近また何度目かの地方創生ブームが来ています。その流れの中で、神山典士『トカイナカで生きる』(文春新書2022)という書物に興味を持っています。最初に断っておくと、現時点で本書は読了できておらず、文春オンラインの記事で、『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』(角川新書2010)で知られる藻谷浩介氏との対談記事を読んで思ったことの感想です。

遂に東京都市圏一極集中から変化するか

藻谷氏の著作は、2010年に出版された時に興味深く読みました。氏が提唱されている里山資本主義の発想も面白いなと思っています。藻谷氏の着想は柔軟で、批判は本質を突いていて、データを重視しながら展開する洞察は鋭いものがあります。私も直感的に、批判や提案をされている内容は正しいと思う反面、結論へ落とし込む際の論理の組み立てにやや強引さを感じるなあ…… というのが偽らざる本音です。

藻谷氏は、『東京一極集中のメリットなんて一つもない。弊害しかない。』と言い切ります。私も東京一極集中は弊害の方が多いとは思うものの、東京一強にならざるを得ない構造が根深く巣食っているのが日本という国の真の病巣だと思っています。残念ながら、日本の地方に居て、大きな夢を羽ばたかせることは難しいように思います。少なくとも私の場合は、自分の生まれ故郷で粛々と働いて、一生を終えるという人生は考えただけで憂鬱で、絶対に送りたくないと考えていました。閉塞感を抜け出すには、東京に行くのが当然で、東京を踏み台にして世界へ飛び出していく……、というのが、若い頃の私が描いていたシナリオでした。(実力不足で実現しませんでしたが)『東京教』に毒された数多い一人だったと思います。

世界の注目都市は、福岡程度の規模

東京都市圏は世界でも断トツの規模で、人口が過集中になっています。メガシティになり過ぎて、人口を減らし、経済も停滞させている。世界の"いけている"と言わていれる都市が、日本の福岡程度の規模ばかりだ、という考察は非情に面白いと感じました。

今の私は、職場と仕事環境があっただけで個人的には深い思い入れのない街、東京にしがみつくことは全く意味がないと思っています。縁あって松本に来れたのは、本当に良かったと思います。以前の、会社を辞めた理由の一つに、毎日東京のオフィスに通って働くのに疲れてしまった、飽きてしまった、というのは確実にありました。辞める時点で、もしもコロナ禍のまん延が予見出来ていて、リモートワークで働くことが社会実装されることが読めていれば、もう少し引っ張ってもよかったかもなあ…… と思わなくもありませんが。

知らなかった応仁の乱の歴史的意味

歴史の教科書で学んだ応仁の乱が、経済的な一極集中の崩壊の象徴であるという見方は新鮮でした。長く続いた応仁の乱が、室町幕府が瓦解するきっかけとなり、戦国時代の到来を招く象徴的な出来事だったという理解しかありませんでした。

確かに戦国時代は、地方分権が進んで面白い時代だったように映ります。実際にその場で生きていれば、毎日緊張を強いられて大変だったと思いますが、地方が絢爛で、多極化している方が混沌としていて、色々面白い気がします。

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