見出し画像

隠し持っておきたい切り札:FIRO

私が社会に出てから、ずっと理想としてきた生き方にぴったりと合致することば 〜当時そのようなことばは存在していませんでしたが〜 に、本日偶然に遭遇しました。それが、FIRO=Financial Independence, Retire Optional 経済的自力、選択的退職 です。本日は、このFIROをテーマに、長年温めてきた持論を力を込めて語ってみたいと思います。


会社員が隠し持っておくべき選択肢

このFIROということばは、数年前に登場した、FIRE=Financial Independence, Retire Early 経済的自立、早期退職 から派生して作られた造語かもしれません。語呂の良いFIREに比べると、FIROには強引にこじつけた印象も感じますが、それはさておき、着目すべきは、その概念です。

本業の仕事を継続しつつ、いつでも仕事を辞められる状況を築いておけば、労働環境や自分の心境の変化に際して、拘束されたり、慌てたりする必要がなくなります。これから先も資本主義がベースとなる社会が続き、簡単には転覆しないとしたら、差し当たり生きていくために必要となるお金の不安を払拭しさえすれば、人生の主導権を自分自身が握れ、その時その時の状況に応じた最適な選択をするための時間的猶予が確保できると思っています。

なんだかんだ言っても、会社員は雇われの身であり、役職や身分なんて他人からの評価や事業環境の変化によって簡単に揺らぎます。自分ではコントロールしきれない要因によって不遇に見舞われた時、その状況に忍従するしか選択肢がないのでは、やっぱり不幸な人生になります。下積みの我慢は、いつか報われるかもしれませんが、報われない可能性だって相当にあります。私にとって『社畜』という生き方は、何としても避けたい生き方でした。周囲から厄介者扱いされているとわかっていながらも、会社にしがみつく選択肢しかないのは、社会人として惨めこの上ない、と真剣に思っていました。(実際にはそんなこともないですが)

等身大の私は、所詮平凡なサラリーマンに過ぎない、と自覚していました。周囲を圧倒するだけの輝かしい才覚がある訳でもなく、血の滲むような努力と研鑽を積むファイトがある訳でもなく、世渡りに長けている訳でもありません。義理と人情に薄く、周囲に媚びたくないという意識が極端に強過ぎる私のような性格では、組織の実力者から疎んじられ、いいように使い捨てにされるリスクは高そうだ、とビジネスキャリアを歩み始めた初期の段階から警戒もしていました。それでも、自分の性格を変える努力はできませんでした。性格を変えることを諦めた私は、信頼性の高い金融資産の蓄積を重視し、サバイバルする為の自己啓発の方に励んできました。一刻も早く「逃げ切り体制」を築くことが人生戦略であり、最大の関心事でした。

世の中の不確実性が高まり、企業の従業員に対する姿勢もドライかつビジネスライクになっている現在では、雇用される側の人間がFIROという選択肢を持っていることは、益々重要になってくると思います。

FIROはリスクヘッジ

私の考えでは、FIROはキャリアのリスクヘッジとして活用するのがよいと思います。つまり、人生を泳ぐために一手段です。あくまでも本命は、自分が本気で打ち込める仕事に出会い、心から仕事を楽しめる状態をできるだけ長く維持すること、に置くべきだと思っています。周囲から期待され、信頼され、好きな仕事に打ち込める人生は、幸せなことだと思います。

ただ、そのような理想的な生き方を、全キャリアを通じて送れる人はごく少数だ、という事実も厳粛に受け止めておくべきでしょう。FIROは、夢破れた人、目の前の仕事に全力集中できない人にとっての次善の策であり、自分が耐えられない状況に直面した時に逃げ出せる精神安定剤です。「自分はFIROである」という自信は、心に余裕をもたらし、自分に犠牲や我慢を強い、雑に扱おうとしてくる人々や組織から距離を置き、したたかに狡猾に生き抜いていくための強い武器になると信じています。

ただ、年若くして盤石な経済的基盤を築き上げた後の行動として、自由と束縛からの解放を優先して、職業を完全に捨ててしまうのは、長い目で見てマイナスが大きいと感じます。仕事そのものは苦しいこともあるけど、楽しいことも少なくありません。なので、REよりは、ROが理想なのです。

過度な苦痛とストレスに耐えてまで働く必要はないと思いますが、ある程度までのストレスを感じ、義務感と責任感が求められる生活をしている方が、謙虚さを失って人の道を踏み外すリスクが減るし、孤独対策やボケ対策にもなりそうに感じます。

FIROを維持する

今の私は、結果オーライではありますが、このFIROを何とか維持出来ていると思っています。この先油断は禁物ですが、今の所はほぼほぼ理想に近い状態の生き方が実現出来ています。FIROかどうかは、飽く迄も私基準で判定している話であり、理想の状態は、人それぞれです。

これからしばらくは、経済基盤を揺るがさない程度には勤勉に働き、手堅い金融投資は継続し、過度な浪費はしないものの、日々の生活は適度にエンジョイする、という原則を徹底して生きていこうと考えています。

サポートして頂けると大変励みになります。自分の綴る文章が少しでも読んでいただける方の日々の潤いになれば嬉しいです。