見出し画像

【追悼】松本零士氏

『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』等で知られた、漫画家の松本零士氏(1938/1/25-2023/2/13)が逝去されていたことが、本日明らかになりました。氏の手がけた作品には少年時代から親しんでいましたので、寂しい気持ちで一杯です。心の引き出しにしまっておいた思い出を辿ってみたいと思います。

松本零士氏

SFの世界を覗かせてもらった

私が、SFとか宇宙物に興味を持つきっかけを作ってくれたのは、何といっても『宇宙戦艦ヤマト』です。厳密に言えば、ヤマトはプロデューサーの西崎義展氏が企画・原案の作品ですが、松本氏の絵力、世界観無くして、あれほどの大ヒットにはなり得なかったと思います。戦闘シーンの迫力、精密に描き込まれた戦艦や飛行機に惹かれ、憧れましたし、真似ました。私の少年時代を彩るエポック的な作品でした。

1979年公開の『劇場版・銀河鉄道999』は、空前のアニメブームをもたらした記念碑的作品です。あの時代をオンタイムで経験できたのはラッキーだった気がします。夢と未来を強く持って生きられた時代でした。

平和を訴えたかった松本氏

1938年生まれの松本氏は、戦中派に属し、日本の敗戦と価値観の転換をリアルに経験している世代の人です。松本氏の父は陸軍のパイロットだったようなので、戦闘は意外と身近だったのかもしれません。松本氏は、作品を通して、戦争の悲惨さ、無意味さを訴え続けたと言われています。ただ、少年時代の私は、ヤマトや999やキャプテンハーロックの戦闘シーンや登場するテクノロジーのカッコよさに興奮して作品をみており、松本氏が本当に伝えたかったメッセージを十分に汲み取れていたかは甚だ疑問です。

『宇宙戦艦ヤマト』では、波動砲、ワープ航法などワクワクさせるに十分な魅力を備えた小道具や概念が数多く登場しましたし、ガミラス艦隊との遭遇、デスラー総統との対決など、名シーンも満載です。『銀河鉄道999』は、主人公の少年、星野鉄郎の成長物語でもありました。メーテル、車掌さんなど、主要登場人物は少ないものの、良質のエンタテイメントでした。

アニメソング史に残る不朽の名作

そして忘れてならないのは、テーマソングです。テレビアニメ版のオープニング『宇宙戦艦ヤマト』も『銀河鉄道999』も、アニメソングの帝王・佐々木功(現・ささきいさお)氏が歌っています。ささき氏の声が最高にいいのです。

『宇宙戦艦ヤマト』のイントロは、ぞくぞくするくらいにカッコよく、最高の名曲だと思います。そしてエンディングの『真っ赤なスカーフ』も最高に渋い名曲です。『銀河鉄道999』は、ささきいさお氏のテレビアニメ版のテーマ曲もいいのですが、映画版の主題歌だったゴダイゴ『銀河鉄道999』は、名曲中の名曲だと思っています。特に二番の歌詞にはぐっと来ます。松本作品は、映像も素晴らしいですが、楽曲に心を掴まれて観ていた部分が少なくありません。

最高のエンタメを届けてくれた松本零士先生、ありがとうございました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

サポートして頂けると大変励みになります。自分の綴る文章が少しでも読んでいただける方の日々の潤いになれば嬉しいです。