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Markover 50 の読んだ本

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Markover 50の読んできた本の読書感想文を収めています。
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#読書コラム

チョムスキー 帝国主義の終わり

本日は、知の巨人たち6人へのインタビューを集めた『知の逆転』(NHK出版新書2012)の中の、ノーム・チョムスキー(Avram Noam Chomsky 1928/12/7- )の回 ー帝国主義の終わりー の読書ノートです。 生きている中でおそらく最も重要な知識人チョムスキーという特徴ある名前は、何度も聞いたことはありました。学術界の人であろうことは想像がついていたものの、その専門分野や提唱している理論については何も知りませんでした。 ウクライナ生まれの父、ベラルーシ生ま

『45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気』を読む

本日は、木下紫乃『45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気』(日経BP2020)の読書感想文です。 「昼スナック」紫乃ママに相談!会社員時代、特に30代から40代前半までは、大量のビジネス書を購入して、せっせと読んできました。このような感じの本も、過去に数冊は読んでいると思います。 ビジネスの世界から距離を置くようになって以降は、ビジネス書を読む効用は、悩んだり、疲れたり、傷んだりしている心にビタミン注射をするようなもの、という結論に至り、買うことを極力控えていました

『「原っぱ」という社会がほしい』を読む

本日は、橋本治『「原っぱ」という社会がほしい』(河出新書2021)の読書感想文です。 ほんわかした頭のいいオジさん、と慕っていた人私は、本書を購入するまで橋本治氏(1948/3/25-2019/1/29)が亡くなっていたことを知りませんでした。誠に失礼ながら、小説家・評論家・随筆家として活躍された橋本氏を、私は「ほんわかした頭のいいオジさん」と勝手に想像して、慕っていました。橋本氏の文体や対象を扱う視点や議論の切り取り方が好きでした。享年70歳。早過ぎる死だと思います。

『絶頂の一族』を読む

本日は、松田賢弥『絶頂の一族 プリンス・安倍晋三と六人の「ファミリー」』(講談社+α文庫2015)の読書感想文です。 日本政治を知る意義著者の松田賢弥氏は、『週刊現代』『週刊文春』『文藝春秋』などで執筆しているジャーナリストです。小沢一郎氏に関する著作もあります。 本書は、前内閣総理大臣・安倍晋三氏の華麗なるファミリーに連なる人々を取り上げ、政治家としての源流を探った書物になっています。現役の総理大臣(当時)を扱った書物ということで、話題になっていた記憶がうっすらあります

『人生の目的』を読む

本日の読書感想文は、五木寛之『人生の目的』です。その中の”信仰について”(P167-195)から思ったことを記録に残します。 人生を学んできた師私はこれまで、小説家・随筆家の五木寛之氏(1932/9/30-)の書いた多くの作品を読んできました。映画化もされた『青春の門』や『四季・奈津子』で五木寛之という名前は幼少期から知っていたものの、文学作品を初めて読んだのは16歳の時、五木氏が翻訳したリチャード・バックの小説『かもめのジョナサン』(新潮文庫)でした。 心が疲れたり、弱

『お金は教養で儲けなさい』を読む

本日の読書感想文は加谷珪一『お金は教養で儲けなさい』(朝日文庫2021)です。 物事の本質をつかむ力!著者の加谷珪一氏(1969-)は、経済評論家・個人投資家です。東北大学工学部を卒業後、日経BPの記者を経て、野村証券グループで投資ファンドの運用をされていた経歴の持ち主です。(帯の略歴より) 理系出身で会社員の経歴もあり、物事の本質を見据えて、バランスが取れた主張をしている(所々毒もありますが……)という印象があり、著作を何冊か読んできました。 本書の帯も『物事の”本質

『自分の小さな「箱」から脱出する方法』を読む

本日の読書感想文は、アービンジャー・インスティテュート『自分の小さな「箱」から脱出する方法』(大和書房2006)です。自分の心の闇と向き合った印として、ノートを書き残します。 人間関係の真理を突いた書本書は、かなり前にVoicyの人気番組『荒木博行のbook cafe』で解説されているのを聴いて以来興味があり、最近手に入れて読みました。 全体で268頁ありますが、物語仕立てで読み進め易く作られています。なぜ人間関係がぎくしゃくするのか、相手に思ったような影響を与えられない

『正義の政治経済学』を読む❸~民主主義を問い直す

本日は、古川元久・水野和夫『正義の政治経済学』(朝日新書2021)の第三弾、『第三章 民主主義を問い直す』(P163-223)を読んでの読書感想文になります。 前二回は本文からの抜粋に対して自分の学びや意見を記す形式で記録していった所、4,000文字を超過しました。加えて、記述内容の揚げ足取り的な指摘や、批判的なトーンの反論が多くなってしまいました。 この点を反省し、最もエキサイティングに読め、自分の頭で考える機会を得られたこの第三章については、総合所見的な感想文を残した

『正義の政治経済学』を読む❷~資本主義を問い直す

本日は、水野和夫・古川元久『正義の政治経済学』(朝日新書2021)の読書感想文第二弾、『第二章 資本主義を問い直す』からです。 社会の<レジリエンス>を育てる【1】近代は、『経済成長』を目指すことが是とされてきましたけど、本来は<成長>そのものが目的ではなく、本当は成長の先にある<幸せ>ですよね。<成長>はあくまで<幸せ>になるための手段であったはずです。極論すれば、幸福でさえあれば、別に経済成長などしなくてもいいともいえるわけです。(P74-75 古川) 【2】セルバン

『酒場天国イギリス』を読む

本日の読書感想文は、小坂剛『酒場天国イギリス 英国文化を味わい尽くす』(中公新書ラクレ2016)です。 英国に魅せられた著者の本本書は、図書館で借りて読んだら大変面白かったので、じっくり読み直したいと思い、購入して蔵書化することに決めました。 著者の小坂剛氏は、読売新聞メディア局編集部次長という肩書き(2016年時点)の現役新聞記者です。ロンドンに留学し、1年2カ月を過ごした際の経験から、英国の魅力の虜になったようで、まさに を体現された人です。 本書は三部構成全16

『極上の孤独』を読む

本日の読書感想文は、一時期話題になった下重曉子『極上の孤独』(幻冬舎新書2018)です。再読になります。 ともだちを求めない人が増えた本音レベルでは、厳選された信頼できる数人とだけ繋がっていれば十分だ、という考えの人が増えているような気がします。疲れるだけの人間関係を断捨離して、自分のやりたいことに集中したい、と真剣に思っている人です。 社会的地位のある人や経済的に恵まれた人の中には、「ともだちは多ければ多いほどいい」「誰とも繋がっていないのは淋しい」という考え方はナンセ

『非属の才能』を読む

本日は、読了後に勇気を貰えた山田玲司『非属の才能』(集英社新書2007)の読書感想文です。 「非属」という生き方のススメの書山田玲司氏(1966/1/8-)は、各界のヤバい人へのインタビュー漫画『絶望に効くクスリ』で知られる漫画家です。 本書のキーワードである「非属」とはおそらく氏の造語で、「どこにも属せない感覚」「みんなと同じを拒否する価値観」といった意味合いです。 ざっくり纏めると、協調性=同調性(空気を読んで既成の価値観に黙って従う)と誤解して、時代の空気に思考停

『丁寧に考える新型コロナ』を読む

新型コロナウイルス感染症については、まだまだ知らないことやわからないことばかりです。上っ面を追い掛けるだけでは中途半端な知識で凝り固まってしまいます。その態度では、広汎かつ網羅的な理解はできないだろうと思うので、定期的かつ自主的に知識をアップデートしていこうと努力しています。 最近読んで頭の整理になったと感じたのは、岩田健太郎『丁寧に考える新型コロナ』(集英社新書)です。 2020年10月に出た本(内容はそれ以前の2020年7月頃の情報がベース)なので、現在実施されている

『還暦からの底力』を読む

本日の読書感想文は、出口治明『還暦からの底力』です。 憧れの人、出口治明さん著者の出口治明さんは、私が憧れる人のひとりです。日本生命を退社後、パートナーの岩瀬大輔氏とライフネット生命を立ち上げ、長く経営されてきました。70歳を超えた現在も大分県別府市にある立命館大学アジア太平洋大学(APU)の学長として活躍されています。 出口さんは無類の読書家で、多くの著書があります。人生を豊かにする要素として、歴史、人、旅、本に言及されることも多く、共感する部分が凄くあります。自身が、