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Markover 50 の読んだ本

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Markover 50の読んできた本の読書感想文を収めています。
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#橘玲

『世界はなぜ地獄になるのか』を読む

本日は、橘玲『世界はなぜ地獄になるのか』(小学館新書2023)の読書感想文です。 「リベラル」を知る為の読書橘玲氏の(おそらく)最新刊です。社会を支配する価値観が刻々変化し、対応するのが益々難しくなっていく世界で、キャンセルされずに生き延びる術、無自覚に差別を行なってしまう愚を防ぐ術を学ぶ為の書と言えるかもしれません。 その為には、今一つイメージが定まらないものの支配的な価値観として決して無視できない「リベラル」と現代のリベラル化する世界の理解が不可欠なように思います。そ

『上級国民/下級国民』を読む Part3

引き続き、橘玲『上級国民/下級国民』から気付きを残していきます。今日はPart3 "世界を揺るがす「上級/下級」の分断"です。 5. リベラル化する世界農業革命が人口爆発を起こしたとすれば、産業革命は「ゆたかさの爆発」を引き起こしました。(P150) 18世紀半ばの産業革命によってゆたかさの相転移(ある系の相が別の系に変移すること)が起き、20世紀の半ばに価値観の相転移が起きて、「自由な社会」が誕生したという訳です。世界は、自由化=リベラル化が進行しています。私達が自分の

『上級国民/下級国民』を読む Part2

昨日に引き続いて、橘玲『上級国民/下級国民』からPart2 「モテ」と「非モテ」の分断から気付きを綴っていきたいと思います。 このPart2 では、日本国民の中で、アッパークラス(上流)とアンダークラス(底辺)との間に分断が起きていて、両者の間に生じている亀裂は修復不能なくらい大きなものになっている、という話が肝になります。 3. 日本のアンダークラス 日本社会の中核を形成しているのは、「日本人・男性・中高年・大卒・正社員」という属性をもつひとたち(P89) これは日

『上級国民/下級国民』を読む Part 1

今日の読書感想文は、橘玲『上級国民/下級国民』(小学館新書2019)です。著者の橘玲氏は、事実(ファクト)をベースに、現代の日本に生きる私達にとって信じたくない不都合な現実を炙り出す刺激的な著書を次々と発表されている人です。本書は2019年7月発売で、氏の最新刊です。読後に『うーむ……』と唸ってしまうさすがの内容でした。 本書は、 の三部構成になっていて、それぞれに印象的なキーワードが登場して、大変興味深い議論になっています。内容が濃いので、3回に分けて読書感想文として残

『働き方 2.0 vs 4.0』を読む

本日は橘玲『働き方 2.0 vs 4.0』の読書感想文です。 先日の東南アジア出張に持っていき、移動中や空いている時間を利用して読了しました。橘玲氏の著作は好きで、昔からよく読んでいます。本書は書き下ろし本ではなく、語った内容を著名ライターの山地達也氏が文章化したもののようです。 書評では、「目新しい内容は何もない」というような低評価も目にしましたが、私は結構面白かったです。自分自身が今後の「働き方」について、試行錯誤中なので、大いに参考になりました。 本書での【働き方