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Markover 50 の読んだ本

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Markover 50の読んできた本の読書感想文を収めています。
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2019年8月の記事一覧

『孤独のチカラ』を読む

本日の読書感想文は、齊藤孝『孤独のチカラ』です。 第一章 失われた十年<孤独と私>明治大学教授で、テレビ番組のコメンテーターを務めたり、数多くの著作を出版されたりしている齋藤先生に、暗黒の十年、失われた十年と呼ぶ心の闇を抱えた、屈折した時代があったとは全く想像できませんでした。見た目も爽やかで、物腰の柔らかそうな印象の人なので、これまで順風満帆な人生を歩んできたのだろうと勝手に思っていました。このような苦節の時代があったのは意外でした。 第二章 <単独者>として生きる群れ

『超二流』を読む

私にとっての一週間の始まり、金曜日がやって来ました。気持ちを上げて、上げ潮モードで盛り上げていきます。今夜の読書感想文は、昨夜一晩で読了した、野球解説者、野村克也氏の『超二流』です。 野村氏は名選手にして名監督。選手としても、指導者としても超一流の実績を残している野球界でも稀有な存在です。 京都の片田舎の無名高校から南海ホークスにテスト入団。現役時代は、守りの要の捕手として活躍し、1965年には打率・本塁打・打点の打撃三冠王に輝くなど、素晴らしい実績を残しています。 指

二毛作人生

連休最後の今日は、今の私の重要なキーワードである『二毛作人生』についての思索を巡らせてみたいと思います。 『二毛作人生』との出会い「人生後半戦を愉しむ」が、現在の私が追求しようとしているテーマです。そう考えるようになった理由の一つは、「思考の整理学」という大ベストセラーの著者である外山滋比古氏の『50代から始める知的生活術』という著作を読んだことにあります。 その中に出てくる『二毛作人生』という言葉が心に強く刺さったのです。初読でもかなり影響を受けましたが、今回再読してみ

『サバイバル組織術』を読む

夏休みは優れた書物から知識をインプットして、自分の中で知恵にして蓄えるのに最適の時間ですから、貪欲にいきます。 本日の読書感想文は、佐藤優『サバイバル組織術』です。 本の帯には「組織は人を潰す 生き延びるためにはその内在理論を理解せよ!」という激烈な言葉があり、なかなかに身につまされるテーマです。 「組織」は、時に私たち「個人」に理不尽な仕打ちを行ないます。なぜなら、組織の目的は、基本的には組織自体の維持・存続であって、そのためには組織の一部分に過ぎない個人を犠牲にする

『上級国民/下級国民』を読む Part3

引き続き、橘玲『上級国民/下級国民』から気付きを残していきます。今日はPart3 "世界を揺るがす「上級/下級」の分断"です。 5. リベラル化する世界農業革命が人口爆発を起こしたとすれば、産業革命は「ゆたかさの爆発」を引き起こしました。(P150) 18世紀半ばの産業革命によってゆたかさの相転移(ある系の相が別の系に変移すること)が起き、20世紀の半ばに価値観の相転移が起きて、「自由な社会」が誕生したという訳です。世界は、自由化=リベラル化が進行しています。私達が自分の

『上級国民/下級国民』を読む Part2

昨日に引き続いて、橘玲『上級国民/下級国民』からPart2 「モテ」と「非モテ」の分断から気付きを綴っていきたいと思います。 このPart2 では、日本国民の中で、アッパークラス(上流)とアンダークラス(底辺)との間に分断が起きていて、両者の間に生じている亀裂は修復不能なくらい大きなものになっている、という話が肝になります。 3. 日本のアンダークラス 日本社会の中核を形成しているのは、「日本人・男性・中高年・大卒・正社員」という属性をもつひとたち(P89) これは日

『上級国民/下級国民』を読む Part 1

今日の読書感想文は、橘玲『上級国民/下級国民』(小学館新書2019)です。著者の橘玲氏は、事実(ファクト)をベースに、現代の日本に生きる私達にとって信じたくない不都合な現実を炙り出す刺激的な著書を次々と発表されている人です。本書は2019年7月発売で、氏の最新刊です。読後に『うーむ……』と唸ってしまうさすがの内容でした。 本書は、 の三部構成になっていて、それぞれに印象的なキーワードが登場して、大変興味深い議論になっています。内容が濃いので、3回に分けて読書感想文として残