毎夜、訪れる黒い影
霊体験の原点
私の霊体験の原点となる幼少期のお話をこちらには書いていなかったので、改めてお話ししたいと思います。
あれは、確か3〜4歳頃のことだと記憶しています。
当時、私たち家族が住んでいた家は、平屋の一戸建て。
建築デザイナーだった父は、自宅の隣にある倉庫を改築して、作業場にしていたのを覚えています。
このとき、まだ健在だった、父方のおばあちゃんも一緒に暮らしていました。
自宅の一番奥にある居間に布団を敷いて親子3人で川の字で寝て、おばあちゃんは1人仏間で寝ていました。
"あれ"が来る
当時、私は毎夜、不思議な光景を目の当たりにしており、夜が来るのが恐ろしくてたまりませんでした。
この日も、そうでした。
父も母も寝静まった深夜、私は決まって目覚めるのです。
幼いながらにも不穏な空気を感じます。
玄関に続く廊下の方から、真っ黒な人の形をした塊がスーッと寝室に入って来て親子三人で寝ている布団の廻りを、グルグルと時計回りに廻るのです。
私は、それが恐ろしくてたまりませんでした。
真っ黒な人の形をした塊、そのように表現しました。私の当時の印象では人の影がそのまま起き上がったような感じ、または黒い煙が人の形になったような感じとでもいうのでしょうか。
対峙
あまりに毎晩それが続くので、父にそのことを話しました。すると父は意外な反応を示します。
「お前は見えてるのか。あれが来ても起き上がったり、声を上げたりしてはいけないよ、黙って見て見ぬ振りをしなさい」
どうやら父はその存在に気付いていたようです。
その日も、同じように親子三人川の字で寝ている寝室に、あの影が入って来ました。私は父の言葉を聞いて更に恐怖心が高まっていたので、たまらずに泣き声を上げてしまったのです。
するとその瞬間、その影が私に向かって迫って来たのです。人の形をしていた影が、1つの大きな球体のようになり、私の顔をめがけてスッと近付いて来たのです。
その黒い影は、私の顔の目前10cmほどまで近づいて来ました。
私は気を失ったのか、そのまま眠りについてしまったのかは定かではありませんが、気付いた時には朝になっていました。
私は昨夜の顛末を父に話そうとしましたが、あれほど注意されていたにも関わらず、禁を破って声を上げてしまったので、我ながら大変なことをしてしまったと思いました。
私の泣き声で、父もきっと目を覚ましたことでしょう。そこに現れた影と、泣き声に気付いた父も対峙したのでしょうか。今となっては分かりません。
霊は周波数の高い音や声に反応します。
心霊スポット等での肝試しの類いで、大声を上げたり、甲高い声で悲鳴を上げたりするのは絶対に避けるべきです。
私があの時に上げた泣き声に、あの影はきっと反応したのでしょう。
今でもあの影は頭の中にこびりついて離れません。
一体、あの影は何だったのでしょうか。
そして何の目的があって毎夜、寝室を訪れていたのでしょうか。
あの泣き声を上げた晩以来、その影は二度と訪れることはありませんでした。
災難が続く
その影が現れなくなってから、私には災難が多く降りかかりました。
転んだ拍子に左の眉の上を落ちていた石にぶつけ裂傷を負いました。
そのあとすぐ、事故で右手の人差し指の第一関節から上を切断。
そして、家族で海水浴に行ったときには、沖まで流され危うく溺れ死ぬところでした。また、走行中のタクシーに轢かれた挙句、10mも飛ばされたり、自動車事故でトラックに追突され、車ごと崖から転落寸前になったり、喘息の発作で呼吸が止まったり(さらに、のちに一家離散)。
全て、命に別状はありませんでしたが、大変な幼少期でした。
あの黒い影を刺激したからではないかと、今でも思っています。
しかし、現れなくなってから災難が続いたことを考えれば、守ってくれていた霊だったと考えられなくもありません。
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