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はちみつとバター*短編小説

バターをたっぷり塗ったパンにチーズをのせてトースターに入れる。焼き上がったら、はちみつをたっぷりかける。マグカップにはミルクティ。あつあつのはちみつバターのチーズトーストは、もやもやを忘れさせてくれる。

あの子から「ごめんなさい」という言葉を聞けた。わたしに対する暴言を反省する言葉は、また違う意味でのあの子への疑念の思いを抱かせる。やっと思いが通じたのか、でもわたしはあなたを支えられるのか、わたしに頼ってくれてもどうしようもないのではないかと、こころが泣き笑いをする。
いや今は目の前のはちみつだ。ミルクティをひとくち。チーズがとけてはちみつとからまって、バターがしみこんだパンがほこっとさせてくれる。

はちみつはやさしい味。
白ワインもいけるよ。
バターは濃厚でとろける。熱が必要だよ。
ラムレーズンのバターとはちみつでホットワインを飲もう。
パンケーキはバター多めで。
はちみつ塩バターのフライドポテトもつくろうか。

甘いものとしょっぱいもの。どちらがいいとか悪いとか合うとか合わないとか、そんなのどうだっていいんだよ。ただ好きだ。それだけでいい。
明日の不安、過去の恨み、そんなものははちみつとバターに溺れたら忘れていくよ。
今を楽しんで、熱いうちに召しあがれ。



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