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【映画感想】犬王



■無茶苦茶良かったー!
しっかり時代モノをやっているのに、
青春で人生でダンスでミュージックで
舞台でドラマチックでダイナミック!
うわー踊りたいなー。


■室町時代なのかー。
昨今、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」とか
アニメ「平家物語」とか
漫画「逃げ上手の若君」とか
漫画「ワールド イズ ダンシング」とかで
今までぼんやりとしかわかっていなかった
そこら辺の歴史がくっきりと輪郭を持って浮かび上がってきた。

■光を失うが琵琶法師の唄に魅了された少年と
能楽の家に生まれたがその体に呪いを受け
異形の身体となった、しかし快活に踊りの道を突き進む少年。
その二人が京で出会った。

お互いの才能を響かせ合いながら
ぐんぐんと成長する二人。

現代で言うと
上京して一旗あげてやるぜ!的な。
東京じゃなくてミヤコは京都だがな。

■その情熱はそのまま二人のライブパフォーマンスで表現される。
それがもう圧倒的!
新しいことを始めようとする熱い心は
見る者の心を奪う。

ダンサーの人は見ろ。
ミュージシャンの人も見るがいい。
そしてこれを作っているのはアニメーターだ。
全部まとめて創作の情熱なのだ。

■そして自身が創作をする人でなくとも良い。
良いものを見て心が動く人であれば
クラップユアハンズ!
手を叩いて応えよう。

楽しい感動と。
嬉しい驚きと。
心地よい情動を。

あなたの物語を伝えるのが彼らなのだ。

いや、ほんと実はあまり言葉がない。
とても良いものだと言うだけだ。
言葉に出来ない所を表現している。

■私はその足で直ぐにサントラを買いに行ったし、
偶然にも京都に住んでいるので、
彼らがいた場所にもするりと行ってみた。
知ってはいたが行ったことはなかった、
今宮神社前のあぶり餅も食べに行った。

そうだ、広島の厳島神社も行ってみたいなぁ。

■ドン、と衝動がひた走る。

そんな映画だ。
ロックだ、フェスだ。
歌えや踊れ!
叫び続けろ。

いやはや、面白いですなぁ。
泣けるほどに盛り上がる。

■古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」が原作で
松本大洋はキャラクターデザインだけなのだけど、
犬王と友魚の関係が
ピンポンのペコとスマイルの関係に似てるのよね。

犬王が陽で情熱
友魚が陰で冷静
なんだけど。
クールだった友魚が最後に向かって爆発的な情熱を燃やすのよね。
犬王はあくまで太陽として爛々と輝く。
むしろヒリヒリと自分の命を賭けてる、笑顔のままで。
たまんないよね。

■そんなところもありこの映画
湯浅政明監督の真骨頂で最高潮の作品と言い切って構わないでしょう。
全てが詰まっているぜ。
最高!
サンキュー!

追記:新しい事を始める事を、よく思わない人もいる。
それもきっちりこの物語の中に入っていて、
犬王と友魚が人気を得ていくにつれ。
伝統を重んじる人はイラつき出す。
心の中では奴らも凄いと分かっていながら、
それがポッと出て出てきたように見えてしまうので。
ならば我らが粛々と積み上げていた正しさは間違っていたと言うのか!
そんなことは認められぬ!
認めてしまえば、これまでの我らの全ての事が無駄だと言うことではないか!
…なんて思っちゃう。
それは全然間違っていて。
無駄にはならないし、正しいことだ。
しかし、正しいことはひとつではないし。
どんどんどんどん生み出されてゆくのだ。
あぁ、恐ろしいねぇ。
ブレーキをかけると熱が出る。
それは前に進もうとしているからだよ。

劇場アニメーション『犬王』

極楽京都日記: 【映画感想】犬王


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