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【2021/8/30】ビューティー・インサイド

『ビューティー・インサイド』は2015年公開の韓国映画。

Netflixをザッピングして何見ようか決められずにいたら、たまたまに目に留まったこの映画。ジャンルは、ヒューマンドラマ、ラブロマンス。パク・ソジュンが出演してるというだけの理由で見始めた。

【あらすじ】
目覚めるたび、年齢も性別も違う外見になってしまう青年が、一人の女性に恋をする。何とかデートにこぎつけたものの、ずっと一緒にいるためには夜眠れない。

韓国ドラマによくある「トンデモ設定」である。韓国ドラマのヒット作にはファンタジーラブロマンスが多いというイメージがあって、その類のものだろう。

外見が変わる設定は、アクシデントで起こる男女逆転もの、のりうつる系のゴーストものなどが思い浮かべられる。きっと何かのキッカケがあり、本物の恋に出会うことでその魔法が解けるような流れであろうと想定。あらすじ以外は何の前情報も入れずに見始めた。


だが。

予想とは全然違っていた。


本当に、毎日毎日、朝起きるたびに外見がゴロっと変わる設定(書いてある通り、年齢・性別・国籍・声など、すべてにおいて全くの別人)だということに驚いた。理由は分からず、治る見込みもなく、その状況を受け入れて29年間生きている青年キム・ウジン(少なくとも生まれたときは)がひたすら出てくる。

と、同時に「キャストめちゃ多いやん」の感想。主役を演じる人だけで123人いるというから撮影の苦労が浮かんだ。

有名かどうかの情報もなく、代わる代わる出てくるウジンを眺めながら、パクソジュンの登場を待った。きっとパクソジュンが出てくれば、物語は大きく動くはず。この謎の外見変異現象が解決に向かうはずなのだから。

21分だった。

お目当てのパク・ソジュンが出てくるのは。長い。長すぎる。でもよく考えてみたら、2015年ってまだ今ほどブレイクしてないのかしら?若手ホープ的な感じかしら。

そして想像通り、物語が動き始める。お相手の女性である家具屋に勤めるイスが登場し、ウジンは恋をする。毎日会いに行くが、イスは違う人として相手する。外見がイケてるパクソジュンになった時、ウジンは思い切ってイスをデートに誘い、ラブがスタートする。しかし寝るとまた別の外見になってしまう。

早く魔法よ解けて!ずっとパクソジュンを見させて!

わたしは祈った。

しかし、ウジンは眠った。。。

それは39分のことだった。

以降、回想にちょこっと出てくるくらいで、パクソジュンは登場しなかった。たったの18分。カメオ出演じゃないんだからさ!そりゃ他のウジンよりは断然長い、長いよ。だけど、ねえ!!

と、怒りたくなるところだが、この辺から物語がぎゅぎゅんと面白くなる。

上野樹里が突然ウジンとして出てきたりしてまた驚く。きっと韓国の方なら「えぇ!この人が!?」ってなる俳優さんがたくさんいるのだと思う。そんな方々をちょっとずつしか使わない贅沢な映画なのである。

何より、イス役のハン・ヒョジュがすごくいい。飾らないけど美しい。派手な芝居はないけれど、細やかな表情とかふとしたしぐさとか、ずっと見ていられる。

「もし」はないけれど、もし毎日外見が変わる人が恋人だったら自分ならどうするだろう、と考えずにはいられない。極上イケメンの日もあれば、ハゲたり太ったりしたオジサンの日もある。女性の日も、老人の日もある。それが自分の愛する人だと毎日思えるだろうか。

外見って、大事。

美しさのことを言いたいのではなくて、相手が”その人である”と認識するために必要な一番の名刺だから。もちろん自分自身に対しても。自分が自分であるという間違いのない保証だから。

生活の中に横たわっている当たり前が覆されて、その上で、本当に大切なものが何か、考えさせてくれる作品でした。

#映画感想文

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