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オリジナル寓話「完璧な配偶者」

昔むかしの、ある村の話。

その村の人々は、狩りをして食料を手に入れたり、穀物や野菜を育てたり、衣服や道具を作ったりして、生計を立てていました。

ある時、狩りが非常に得意で村に多くの食料をもたらしてくれる男と、ものづくりが非常に得意で丈夫な衣服や便利な道具を次々に生み出してくれる女がいました。
その二人のおかげで村はとても豊かになったので、村長は彼らの功績を称え、村長自身の娘と息子を、それぞれ嫁と婿として結婚させることにしました。

村長の娘と息子は高い教育を受け、知識が豊富で、歌や踊りなどの教養も大変豊かでした。


女は村長の息子と過ごすうちに、その人物の素晴らしさにすっかり魅了されました。
「異国の言葉を聞きたい」と言えば息子は五つの国の言葉を話してくれて、「この地の起源を知りたい」と言えば、息子はその歴史を説明してくれました。
「人々が幸せになる道具を作りたい」と女が言えば息子はいくつもの設計図を描き相談に乗り、「できたものをたくさんの人に届けたい」と言えば、幾日もかけて運んでくれました。

こうして女は息子と共にものづくりに励み、偉大な発明家となりました。


男は村長の娘と過ごすうちに、その人物の素晴らしさにすっかり魅了されました。
「歌を聞きたい」と男が言えば娘は美しい声で歌いあげ、「踊りが見たい」と言えば、娘は優雅に舞いました。
「疲れたよ」と男が言えば娘は優しい言葉をかけてくれて、「一緒にいたい」と言えば、娘はずっとそばにいてくれました。

こうして男は朝から晩まで娘と過ごすばかりで、狩りをすることをやめてしまいました。

               【完】


すっかり私たちの生活の一部になったスマホ。

「使い方ひとつで人生大きく変わるよね」ということを表したお話です。

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