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【2020 J1】選手起用分析〜前例なきシーズン3分の1を終えて〜

横浜FMサポのりょー(@YFMsupo)です。

8/19(水)の第11節をもって、J1は11試合が終了。選手、スタッフらの感染が確認され中止(延期)となった試合はありますが、多くのクラブは2020シーズンの3分の1を戦い終えたことになりました。

約4ヶ月間の中断を経て7月上旬に再開したJ1。再開後は46日間で10試合と異例の過密日程をこなすJ1クラブ。各クラブの選手起用を分析してみると、クラブごとに異なる特徴が見えてきました。

(ところどころ上から目線で書いていたり、扱う情報量から推しクラブへの贔屓が多少見られますがぜひ最後まで読んで頂けますと嬉しいです。)

①起用した選手の数が多いのはどこ?

選手起用数

起用した選手の数(選手起用数)が多いのは試行錯誤が続く大分、怪我人が多い柏、若手躍動の横浜FC。その数は約30人。一方、選手起用数が少ないのは名古屋、川崎、C大阪といった上位陣。

選手起用数と順位

下位クラブは選手起用数が多く、上位クラブは少ない傾向。上位クラブは選手起用を固定し練度を高めているから好成績を収めている、また反対に好成績を収めているから選手起用を固定している(変える必要がない)と言えるかもしれません。

ただ正確には、選手起用数が少ない(20人前後)=選手起用を毎試合固定しているとは言い切れません。20人前後の選手を毎試合ターンオーバーして起用している可能性もあります。そこで各クラブの「稼働率別の選手数」を比べてみましょう。

②選手の稼働率が高いのはどのクラブ?

稼働率別の選手数

上記は、クラブごとの「稼働率別の選手数」を表したグラフ。赤い部分が多い(稼働率高い選手が多い)ほど、選手を固定して戦っていると言えるでしょう。また、「稼働率」は以下の式から導かれ、消化試合数の違いの影響は受けません。

稼働率=当該選手の出場時間÷全試合時間×100
(例)横浜FMの喜田拓也は11試合(990分)中844分に出場。喜田の稼働率は以下にて算出。
喜田拓也の稼働率=844÷990×100=85.3%

稼働率80%以上の選手数

稼働率80%以上の選手数は、名古屋、G大阪、C大阪、広島の4クラブが最多の7人となっています。

稼働率80%以上の選手(名古屋)

名古屋はGKランゲラック、中谷・丸山の両CBがフルタイム出場中。実に6選手が稼働率90%を超えており、守備陣を中心に連続出場が目立ちます。

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G大阪、C大阪、広島も稼働率が高いのは守備の選手。替えの効かない彼らを、今後どのタイミングで休ませるかは頭を悩ませる問題でしょう。

選手起用数&稼働率80%以上の選手数

また、選手起用数とあわせてリーグ全体を見ると、やはり名古屋、G大阪、C大阪の「少数精鋭」ぶりが際立ちます。同じく少数でありながら、彼らとは異なり選手を入れ替えつつ負荷を調整出来ているのが東京、川崎。そして、積極的に選手を入れ替えているのが仙台、横浜FM、湘南等です。

冒頭でも書きましたが、J1は再開後10試合を46日間で消化。それらの80%に出場したことを表す「稼働率80%」は、計算すると実に1週間で120分近く試合に出場していることを意味します。酷暑の中毎週延長戦を戦っているようなもので、選手にかかる負担の大きさが伺えるでしょう。

③スタメン変更が多いのはどのクラブ?

スタメン変更人数(横浜FM&仙台)

スタメンの変更人数が特に多いのは、横浜FMと仙台の2クラブ。平均するとスタメン11人のうち3分の1を超える4人以上を毎試合入れ替えています。

稼働率別の選手数(横浜FM)

特に、横浜FMは稼働率40〜60%の選手が10人と多数。週2試合のうち1試合分に出場する、といったターンオーバーをしていることが伺えます。

スタメン変更人数(川崎&清水)

スタメンの変更人数が平均2.7人の清水、平均2.6人の川崎。適度にスタメンを入れ替えている両クラブですが、その中身はだいぶ異なります。

スタメン変更人数の推移(川崎&清水)

2〜11節まで10連勝の川崎は、ここ数試合スタメンを多く変更しています。選手を入れ替え負荷を調整しながら勝ち続けているのは本当に見事です。

一方、ここ数試合はスタメン変更が少ないのが清水。変更の多かった5節までは5連敗を喫しましたが、5試合負けなしの6節以降はスタメン変更が大幅に減り、チームの成熟を感じさせています。

スタメン変更人数(柏&横浜FC)

また、スタメン変更平均2.3人は横浜FC、2.1人は柏。昇格組の両クラブは、スタメンが固定されチームとして成熟し始めているように思われます。

選手起用数(柏&横浜FC)

ただ、両クラブともここまで29人の選手を起用。スタメンは固定傾向にありますが、試行錯誤しながら多くの選手を起用している苦悩も伺えます。

稼働率0〜10%の選手数

両クラブとも稼働率10%(出場時間にすると99分)に満たない選手が多め。中々プレータイムを増やせない選手が多いことがわかります。

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特に横浜FCは、昨季J2で2,000分以上出場したLドミンゲス、イバ、武田、1,500分以上出場した松井、終盤戦で活躍した齋藤功佑ら、昇格に貢献した選手たちが一様に出番を得られず。9選手の出場全てが途中からであり、出場時間もそのほとんどが30分以内と非常に短くなっています。

若手を起用しスタイルの転換を図っているとはいえ、彼らが継続的にベンチ入りを果たすことでさらなるチーム内競争の活性化が望めるでしょう。

④選手交代が多いのはどのクラブ?

選手交代人数

選手交代の人数が最も多いのは川崎。全ての試合で交代枠5枚を使い切っています。次いで多いのが、第11節終了時暫定で17位の鳥栖と同18位の湘南。財政的に決して恵まれてはいない両クラブですが、積極的に選手交代を活用しています。

若手の積極起用(湘南、鳥栖)

湘南、鳥栖ともに多くの10代選手を交代起用。湘南は谷晃生、鳥栖は松岡、本田風智ら10代選手が既に主力としてプレーしますが、彼ら以外の10代選手も途中起用し過密日程を消化しています。

交代選手のプレー時間

また、交代選手のプレー時間が長い(交代カードを切るのが早い)のは湘南と横浜FM。平均25分以上とかなりの試合時間が残っているタイミングで、交代選手が投入されています。

交代人数と交代選手のプレー時間(多い&長い)

選手交代の人数とあわせてJ1全体の傾向をみると、横浜FM、湘南に加えて札幌、広島も積極的な選手交代を行っていることがわかります。

スタメン変更人数(札幌&広島)

一方で、スタメンの変更人数は少ない札幌、広島両クラブ。スタメンは固定しながらも、積極的な選手交代で選手にかかる負荷を減らしています。

交代人数と交代選手のプレー時間(少ない&長い)

また、交代する人数は少ないが、変えるタイミングは早いというクラブも。上位につけている浦和、柏、名古屋などがそれに該当します。

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浦和、柏の2クラブについて詳しく見てみます。両クラブとも、交代選手のプレー時間が長いつまり選手交代が早かったのは、早々に点差をつけられた試合。「攻めるしかない」という状況が早めの選手交代を後押ししており、両クラブの選手交代が常に早いというわけではなさそうです。

3枚替えの回数

ところで今季のJリーグでは、交代枠5枚の特別ルールにより3枚替えや4枚替えが多く見られるようになりました。横浜FMは3枚替えを行う試合が非常に多く、実に6試合で3枚替えを行っています。

3枚替え(横浜FM)

その6試合いずれも、ビハインドあるいは同点時に、60〜70分にかけて3枚替えを敢行。

結果、4試合で投入選手が得点をあげて3試合に勝利。選手層の厚さを見せつけました。2つの引き分けと1つの負けを勝ちに変えており、3枚替えで試合の流れを大きく手繰り寄せています。

4枚替えの回数

また、4枚替えはこれまで札幌、鹿島、神戸、大分の4クラブが1回ずつ行いました。いずれも攻撃面に戦術的特徴を持つクラブであり、試合の流れを大きく変えることが狙いだったのでしょう。

おわりに

選手起用まとめ

最後に、J1各クラブの選手起用についてまとめておきました。第11節終了時では選手を変えずに起用するクラブが上位にいる傾向がありますが、この流れはいつまで続くでしょうか。

今後も55日間で12試合と、経験したことの無い過密日程が連続します。戦術以上にコンディションが勝負を分ける可能性も高いでしょう。したがって各クラブの選手起用に着目すると、特殊な2020シーズンをより楽しむことができると思います。

そして、最後までお読みくださりありがとうございました。もしよろしければ、Twitter等での拡散ぜひお願いします。それではまた。

・参考:Jリーグデータサイト

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