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スモークサウナに行ってきた

在フィン3年目にして初のスモークサウナ(savusauna)を体験してきた。在フィン歴の長い私の友人たちが、「スモークサウナは一度でいいから体験してみるべき」と勧めてくれたからだ。

ESN Jyväskyläという学生団体が主催するサウナイベントにてスモークサウナに挑戦した。この団体の会員証(ESNカード)があれば3ユーロ、無しでも5ユーロで体験することができる。

有名な公衆スモークサウナの一つ、クーシヤルヴィ(Kuusijärvi)はヘルシンキのすぐ近くの都市・ヴァンターにある。そこのスモークサウナは1回あたり学生で7ユーロ(大人は12ユーロ)。

だけど、ユバスキュラからヴァンターに行くまでの交通費等を考えたら、5ユーロでスモークサウナが体験できるのは大変お手頃である。

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この日も土砂降りだった。上下雨がっぱを着て自転車を7-8キロ漕いだ。こんな日にわざわざ自転車に乗ってサウナに行くなんて、本当に狂ってる…。

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ユバスキュラ市街地から少し離れたKiviniemiというサウナ場にようやく到着した。かっぱを着ていったにも関わらずその下の服もぬれてびしょびしょだった。雨がひどすぎて寒すぎて、震えながら主催者の説明を聞き、脱衣所に向かった。

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スモークサウナの中の写真は割愛(上記の写真は、ヴィヒタと呼ばれる白樺の枝と思われるもの。サウナの入り口にぶらさがっていた。これで体をたたきながらサウナに入ることもある)。スモークサウナの中は電気がないせいか暗い。入ってみると樹木をいぶしたようなにおいが鼻につく。それでも、想像していたよりもにおいは強くない。

このイベントの主催者の方が、スモークサウナの温め方を教えてくれた。サウナの中で10時間以上樹木をいぶしたあと、煙を外に出す。それでもまだ残る暖かさで体を温めるのだという。

フィンランドの一般的なサウナには、電気または薪で温められた熱い石がおいてある。ここに水をかけて室内の温度を一気に高めるのだ。スモークサウナの中にも石は置いてあったが、この日はたくさんの人が使用する予定だったのでスモークサウナ内の石に水はかけないように注意された。水をかけすぎると温まった空気が冷えてしまうからということらしい。

それでも今回特別に、サウナイベント主催者の方がスモークサウナ内の石に水をかけてみせてくれた。通常のサウナのように水をどばどば流すのではなく、サウナの中にあるタンクから水をひしゃくで少しすくって、石に少しずつ垂らしていく。

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スモークサウナは通常のサウナと違って、少しずつ体の隅からじんわり温まっていく感じだ。通常のサウナはたくさん水を石にかけるから、湧き上がる蒸気と急激に高まる温度で体が急に温まってしまう感じがある。そのため、通常のサウナは時に何かの修業をしているんじゃないかと錯覚してしまうことすらある。

だけど、スモークサウナは水をやさしくかけなきゃいけないということもあるからか、温度が急激に上がるということがない。だから長い間リラックスしてサウナを楽しむことができる。じわじわ温まっていく感じとスモークのにおいで、なんとなくスモークサーモンになっていく鮭の気持ちを体感することもできる。鮭たちはきっとこんな風にじっくりいぶされて、おいしいスモークサーモンになるのだろう。

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体が十分に温まった後は、目の前にある湖で少し泳ぐ。この日はどしゃぶり、気温は確か10度前後。他の参加者たちが寒さでしり込みする傍ら、私は迷うことなく水に入る。はじめは冷たいけれど、慣れてくると水の外の方が寒く感じられる。

スカッと晴れた日に湖で泳ぐのも気持ちいいけれど、雨の日に泳ぐのも悪くない。雨が湖に落ちていくのを間近で観察することができるからだ。全身湖につかり、雨水が湖の一部になるの眺める。そのたびに、私もこの自然の循環の一部だったんだと実感させられる。

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そのあとも時間が来るまで何回も湖とスモークサウナを往復した。スモークサウナにずっといたからか、体からスモークサーモンのようないぶされたにおいがずっとする。これはスモークサウナに入るときの注意点なのだが、スモークサウナに一度入るとあの独特のにおいが(シャワーをしっかり浴びても)数日残る。

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サウナの後はお腹がすく。というわけで、サウナイベント主催者の方が準備してくれたソーセージやマシュマロを焼いて食べた。9月はフィンランドでは新学期だ。そのためか、このイベントの参加者のほとんどが、ユバスキュラに新しく来た交換留学生だった。それぞれの国の違い等について、フィンランドについて話すなどする。

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雨が降ってとっても寒い。近くにあった小屋の、恐らく薪を使ったオーブンレンジの側で暖をとる。この後もマシュマロを焼いたり持ってきたコーヒーを飲んだり小屋で暖を取ったりして、雨脚が少し弱まるのを待つ。

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雨が弱まったので自転車で帰宅。帰り道にキノコを見つけた。これは少し前のブログでも触れたけれど、毒キノコだ。

帰ってきたら寒い天気のせいで体がまた冷えてしまっていた。時計を見たら、あと30分で私の住むアパートにあるサウナの無料開放時間が始まる頃合いだった。フィンランドではどの学生アパートにも公共サウナ(アパートのサウナは大抵電気式)が設置されていて、時間ごとに男性・女性で区切って無料でサウナを開放している。私のアパートのサウナは、一時間当たり2ユーロで個別に予約をすることもできる。

というわけで、アパートのサウナに行ってきた。ここに集まる人たちはいつも決まったメンツだ。サウナでよく会う人たちのことは、サウナで会えるから連絡先もよく知らない。この日も久しぶりにサウナでよく会う友達に会って、いろいろと近況を報告しあった。

その友達にスモークサウナの話をしたら、「いぶし具合もサウナによってさまざまで、しっかりスモークするところはにおいがとてもきつくて大変」だと教えてくれた。自分の体に残るにおいの話をしたら、「言われてみれば確かににおう気もするけど、気にしなくて大丈夫だよ」と笑われた。そういえばアパートのサウナに入る前に鏡を見たら、自分の顔にスモークサウナでついたであろう黒いタールがまだ残っていた。

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初めてのスモークサウナはとても面白かった。でもいつも使うアパートのサウナも、また違った楽しさがあると思った。

そんな、皆様からサポートをいただけるような文章は一つも書いておりませんでして…