ルシャナの仏国土 覚者編 10-12
十.ルシャナ伯爵誕生 ナーデル王家が三つの公爵家となってオープストと一体化したのは、翌年の夏である。国名も『グロスアイヒェ』と改められた。ヴォルフが提案したカルタナ大陸全体の平和は、彼の思いを超えて『王族の結婚』と、極小国の帰順という形で成就されたのである。
なお、当初シャルロッテが当主となる予定だった公爵家の一つは、ラオプの第二王子ヘルベルトが旧ナーデル領のブロムベーレ伯爵の娘エルザと結婚して公爵家と認められた。ヘルベルトは、先の見合いの際に彼ら一行のサポート役を務めて