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6月に読んだ本の感想をゆるりと。

今日の晩ごはんはネバネバそばです。

あと1時間ほどで帰宅するであろう旦那氏を待ちながら、このnoteを書き始めました。最近は薬味ばっかり食べている。たくさん薬味を食べるには、どうすればいいか。毎日考える。薬味好きにとっては、これが夏のたのしみ。今日のそばの具材は、青じそ、細ねぎ、塩もみきゅうり、納豆、オクラ。さいごに卵を割ってやろう。ふつうにスーパーで売っている十割そばの乾麺がおいしくて、最近ハマっているのです。〆でそば湯も作れるのが、うっかり冷たいものばかり食べちゃいがちなこの季節に、すごぶるやさしい。

……冒頭ごはんのはなしで失礼しました。とってもおなかが空いています。6月に読んだ本を振り返ってみると、ごはん関連のおいしい系ブックが多かったので、結果的にはちょうどよかった。(?)

6月に読んだ本8冊を、ゆるりと紹介していきます。

BUTTER(柚木麻子)

この小説はあまりにおもしろすぎて、前回の読書感想文noteでも、読んでいる途中で前のめりで紹介しちゃいました。

けっこう分厚い本なんだけど、隙間時間にどうしても読み進めたくて、あらゆる場所に持っていった1冊。SNSでもよく見かけていた本で、バターの黄金色が特徴的な、目を惹く表紙だ。わたしはずっとおいしいもの小説なのかと思っていた。でも文庫版の解説を読むと、連続不審死事件で逮捕されたカジマナこと梶井真奈子と、それを追う週刊誌記者のはなしだという。ギャップにやられたわたしは、俄然気になるということで、ようやく手に取ってみた次第。

仕事や家庭、男女関係、交友関係。カジマナを通した食との関わりによって変貌する主人公。その人間模様の機微がめちゃくちゃ繊細に描かれていて、ぐいぐい引き込まれてしまう。食はこんなにも、ひとを変えてしまう可能性を秘めている。わたしも食にまみれて生きてきた人間のひとりだから、小説で起きていることの隣り合わせにいるような。そんなゾクゾク感もおもしろかった。

バターとは罪深い食べ物であるよ……圧巻の描写で、食欲もしっかり満たされる1冊。柚木さんのほかの著書も、またトライしてみたい!

桃を煮るひと(くどうれいん)

5月に出会ってから、ドはまりしているくどうれいんさん。この勢いでいろいろ読んでみようと思い、この「桃を煮るひと」で3冊目。すきだなぁと思ったら何冊か読んでみる。これはむかしからのクセなのか、わたしの本棚には同じ著者の本が数冊肩を並べていることが多いのだ。

今回読んだこちらは、だいすきな食エッセイ集。まずですよ、この本の表紙がたまらんのです。見た目にもインパクトのある桃のイラストがかわいいのはもちろん、なんといってもこの手ざわり。紙質も桃っぽくこだわったというこの表紙は、なんというか、モケッとしていて、何度もすりすりしてしまう。この本を触ったことあるひといますか?この気持ちよさを、ぜひ共有できればうれしいのですが。

れいんさんの文章を読んでいると、ときどき懐かしさがわき上がってきて泣きそうになる。だれかと食べたごはんもそうだし、季節ごとに作る料理もそう。自分の思い出たちと、スッとリンクする瞬間が多いのだと思う。ちなみにこのエッセイに登場する「もずく酢のサラダ」が気に入ってしまい、もうすでに3回作った。これもいつか夏の思い出になるのだろうか。

書く習慣(いしかわゆき)

noteに読書感想文を書き始めてから、だいたい1年くらい経った。書くことをこれからも楽しみたいし、身の回りのことをもっともっと書いてみたい。ちょうどそんなタイミングだったので、ライターのいしかわゆきさんの本を再読した。やっぱりすてきな本だなぁ。

なんでか知らんけど、「書く」ことのハードルは放っておくとついつい高くなってしまう。ネタを熟成させがち。ちゃんと考えてから書こう、今度の休みに書こう、とか。そのハードルを、ひょいと小石をまたぐくらいにまで、ぐぐっと下げてくれるのがこの本なんです。文章術の本は数あれど、「書きたい!」という気持ちにここまでエールを送り背中を押し、「なんでも書いてみ?」とペンまで持たせてくれる本はなかなか存在しないのでは。

わたしは日常生活がだいすきなのですが、書くことでもっと光り出すと改めて感じさせられた。noteの下書きが溜まりがちな自分に喝だ。

ラッシュライフ(伊坂幸太郎)

月に何回か、ブックオフにお散歩に行くのですが、伊坂幸太郎さんの読んだことのない小説をみつけると、問答無用で手に取ってしまいます。きけんなお散歩だ……。だって読んだことのない本が、膨大に存在している。

泥棒、神に憧れる青年、不倫している女性カウンセラー、職を失った男。なかなかパンチのある登場人物たちが、少しずつ交錯していく物語だ。いや、交錯というひとことで済ますには、あまりにも単純で恐れ多い。タッチの差ですれ違ったり、捨てたものを別のひとが拾ったり、「んなことある?」っていう状況で同級生と遭遇したり。緻密に織られた物語を読みながら、ずっと転がされている。とにかく読むのがたのしい伊坂作品だ。

ランチ酒 おかわり日和・今日もまんぷく(原田ひ香)

原田ひ香さんの「ランチ酒」シリーズの、「2」と「3」を続けて読んだ。すきな本の続編は、気になりすぎてついつい手に取ってしまう。

主人公の犬森祥子は、「見守り屋」という仕事を続けている。夜勤明けの、酒に合うひとりごはんが趣味であり、癒しであり、活力なのだ。

バツイチ・アラサーの主人公のまわりでは、いろんな人間模様が展開される。元夫やひとり娘との関係、新たな恋。仕事では、依頼主の個々が抱えるモヤモヤに寄り添う。放っておけないひとには、ときに仕事の範囲を越えてサポートしちゃう。シリーズ後半は、ふだんは静かめで冷静な主人公の、大胆な一面も読み取れたりして、その変化もおもしろい。

いろんなかけ算を楽しめる小説だと思う。例えば人間模様×グルメもそう。それでいうと、章のタイトルが「新大久保 サムギョプサル」といったかんじで、地名×グルメとなっているのもポイントだ。知っているお店が登場するかも?というわくわくがある。グルメと酒のかけ算では、餃子×ビールなんて、最高ですよね。人間ドラマを注視するもよし、グルメシーンでよだれを垂らすもよし、自由に読めるからたのしい。3冊読み切ってしまい、さみしさもありつつ、ごちそうさまでした。

つまらない住宅地のすべての家(津村記久子)

5月に、ひさしぶりに読んだ津村記久子さんの小説がすごくおもしろくて!6月も引き続き、読んでみた。6月はこのパターンが多いね。読みたい本は読みたいときに1ページでも読んでみるのが吉。

この本もすごかった。舞台はとある住宅地。閉鎖的でつまらない住宅地に、刑務所を脱獄した女性受刑者が向かっているというニュースが舞い込んでくる。ザワつく住人たち。それぞれの家庭には、明かしたくない秘密があるのだ。なんとなく漂う不穏な空気が、ハラハラしてたまらない!こんなにかたちのない空気感を、ちょっとずつ匂わせてくるんだからもう。読者の想像力を、ごく静かに煽ってくる著者の力量に、圧倒されまくりの1冊だ。

住宅地の家族の、それぞれの目線で描かれる物語だから、登場人物がすごく多いの。さいしょは覚えきれるか不安だったけれど、だんだん人となりが分かってくる。人物像の浮かび上がらせ具合も、絶妙だと思った。

夢をかなえるゾウ0(水野敬也)

昨年から読み進めてきた、「夢をかなえるゾウ」シリーズの最新刊を読んだ。わたしはこの「0(ゼロ)」がいちばん刺さったかも!たくさん折り目をつけながら読んでしまった。いまパラパラ折り目の箇所をひろってみても「大事よなぁ……大事よなぁ……」と、深くうなずくことばばかり。

今回のテーマは「夢」。まわりの期待に応えるために生きてきた主人公は、そもそも主体的にかなえたい夢がなかった……。ガネーシャからの課題を実践し、夢を見つけるところからスタートする。

夢ってなんだろうなぁ。考える。わたしもずっと持ってなかった気がする。いまはすきなことを仕事にできていて、夢と聞かれると「平穏な暮らしです」と答えるかもしれない。けれども、気付かないうちに諦めていることや、悔しいけれどガマンしていることもあるし、もっとすきになれそうなのに距離をとっていることもある。解像度を上げれば、これってぜんぶ夢なんじゃないかな。ポジティブな気付きがたくさん見つかる本だった。

6月に読んだ本まとめ

ここまで読んでいただき、ありがとうございました〜!

書き始めてから日をまたいでしまいましたが、ネバネそばの完成品を貼ってみましょう。

麺が見えません!

6月終了ということは、もう2024年も半分が過ぎたのですね~。読んだ本を振り返ってみると、上半期は48冊読了していました。あと2冊で100冊まで半分、惜しい!でもうれしいことに、読みたい本はどんどんどんどん増える一方なので、しあわせな趣味を持っているなぁと毎日思っています。

このまま2024年後半も、活字とともに歩んでまいります☆

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