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12月に読んだ本の感想をゆるりと。

2023年の5月から、ゆるくスタートさせた読書感想文。昨年もザクザクと雑食読書で読書の間口を大きく広げ、すてきな本たちと出会うことができた。無事100冊読了。

2024年も、よろしくお願いいたします。年間およそ100冊の感想文を、ここに記録してまいります〜!

気になる本や「読んだことある!」などの共通点が見つかればうれしいです。ぜひ気軽に教えてくださいませ。

新年のあいさつをしつつ(遅くなってしまった!)12月に読んだ本、10冊の感想を書いていきます。

山の上のパン屋に人が集まるわけ(平田はる香)

これは夫が読んでいた本で、夫もたまたま本屋で見つけたらしいのだが、かなり感銘を受けていた。実際、長野県にあるこのパン屋さんに行く計画を立てていて、考え方だけでなく行動も変わっているから、本の力ってすごい。自分のいまの興味を図るためにも、本屋の散策は大事だなぁと、改めて思ったのだった。

本の著者は、株式会社わざわざの代表取締役社長、平田はる香さん。長野県の山の上で、パンと日用品のお店を開業。開業に至るまでの紆余曲折もすごく人間らしくておもしろいのだけれど、お店を営む中での葛藤も、身に沁みる。それは自営業で奮闘するわが夫を、近くで見てきたからだろうか。なにかを犠牲にして頑張ることが、業界での「ふつう」になっているのだ。

平田さんは、その「ふつう」に対する違和感と対峙し、変化させたりNOと言える芯の強さがかっこいいです。「どうやったらもっと健やかに働けるやろか?」と考えるきっかけにもなった1冊。

メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた(吉川景都・BAパンダ)

同じ手順で同じメイクをなんとなーく続けている。変えたくても変え方がよお分からん。けれどもコスメは好きでよく買ってしまう。そんなひと(全部わたしのことです)に、この本は非常におすすめです。

著者はマンガ家の吉川景都さんと、現役美容部員のBAパンダさん。幼馴染の2人。BAパンダさんが吉川さんにメイクをレクチャーしていく過程が、マンガで楽しく学べるのだ。ゆるっとしたマンガと侮るなかれ、ほんとに学びが詰まった本だった!

この本の何が魅力って、吉川さんへの共感が深すぎて自分ごとのように読めること。ファンデーションを塗りすぎてのっぺりしちゃったり、アイライナーへの頑なな苦手意識があったり、スキンケアはとにかくラクしたいとか。あー、もう全部自分、ってなる(笑)そこにBAパンダさんのプロ意識を浴びることで、「そっかメイクって、こんなに楽しめるんだ!」と、翌日のメイクが待ち遠しくなってくるのだ。

わたしはさっそく眉毛を変えてみましたよ。気分も変わるもんですね~~いいかんじで過ごせている。

チルドレン(伊坂幸太郎)

おもしろい小説が読みたいとき、伊坂幸太郎さんはまちがいない。「チルドレン」は初読みではなかったけれど、久しぶりに読むとまた新鮮で、テンポよくすいすい読めてしまった。会話文がお洒落なんですよね。なんか、的確で簡潔でスマートで、小気味よい。だから好き。

この作品は、著者が「短編集のふりをした長編小説」と称しているもの。全5篇という構成なのだが、共通の登場人物が出てきて少しずつリンクしている。別の目線でストーリーが展開されていくから、まったく飽きない。点と点がつながったとき、「そうゆうことか〜!」と合点、すっきりやさしい気持ちになれますよ。

たのしいムーミン一家(トーベ・ヤンソン)

ムーミンの文庫本はシリーズで持っていて、小学生のころに何度も読み返していた記憶が。おとなになって読んでみたらどう感じるだろう。手に取ったものの、これがけっこう読むのに時間がかかる。童話のイメージがあるかもしれないけれど、なかなかシビアなシーンがあったりするんですよね。

例えば、登場する不気味な黒いぼうし。投げ入れたものがまったく別のカタチになって出てきたり、ぼうしの下にかくれたスニフ(ムーミントロールのともだち)が別人のビジュアルになってしまい、仲間と認識されずよそ者扱いされたり。これけっこう辛いよね。

いろんな生き物が共存しているのも、世界の縮図なのかもしれない。少し影があるからこそ、ほのぼのとしたシーンにほっこり癒された。

ライオンのおやつ(小川糸)

読書好きのおともだちから、推されていた本をようやく読んだ。じんわりと、ことばのやさしさに溢れた小説で、すごくすごくよかった。

主人公の雫は、余命宣告を告げられ、ホスピスで残りの人生を過ごすと決める。若くして、人生の旅立ちが決定されているのだ。人はいつか旅立つ。けれども、それを日々意識している人は少ないと思う。雫が病気になってからの人との関わりや、ホスピスでの交流、会話の数々が、ときに温かくときに激しく胸を打つ。

食べたいおやつ、懐かしいごはん、また見たい景色、会いたい人。人生の最後を意識したとき、自分なら何を思い浮かべる?今すぐしたいことは何?雫と一緒に想像しながら読むと切なくなる。それと同時に、今のこの時間がすんごい大事だなぁと思える。いつの間にか忘れちゃう、当たり前のことに気付かせてくれる1冊。

ゆるく考えよう(ちきりん)

昨年は、ちきりんさんの本をよく読んだ。バリスタ修行中のアルバイトであるわたしは、「現状はとても満足しているけれど、この働き方をいつまで続けよう???」と、考えることがよくあったのだ。そんなとき、色んな生き方・考え方のパターンを提案してくれるのが、ちきりんさんの本。世間の動きやデータがベースにありつつ、社会派ブロガーの著者の視点がとてもおもしろいのです。

この本を読むと、「社会の常識をいったん疑ってみる」という思考になれる。〇〇すべきとか、こうあるべきとか、それって自分の人生にとって不可欠なことなの?と。相手のためにがんばり過ぎて消耗しちゃう人にも、この本はおすすめです。

柔軟に自由に生きる。そのためにも、「ゆるく考える」のはひとつの術だなぁと思った。

かもめ食堂(群ようこ)

小説も映画も大好きな、「かもめ食堂」。11月に小林聡美さん(映画かもめ食堂の主演を演じている)のエッセイを読んだので、こちらの小説も読みたくなって読んでみた。

日本を飛び出し、フィンランドで食堂を営みはじめたサチエ。そこにミドリ、マサコという妙齢の日本人が加わり、交流が芽生えていく。どの登場人物も、一見すると少々訳アリなんだけど、でもそれって生きてるってことじゃない?と思える。3人の関係性はとてもおおらかで、適度な距離感も保たれていて、おとなの心地よさが感じられるのだ。おいしそうなごはんの描写も、読むたびにたまらん1冊。

メタ思考(澤円)

Voicyパーソナリティとして発信活動をされている澤円さん。わたしも昨年の秋ごろから澤さんのVoicyを聴き始め、すっかり日々の習慣になっている。生き方・働き方のヒントとなる発信をされていて、穏やかな話し口がとても心地いいんですよね。

本も発売されたということで、ぜひ活字でもインプットしたい!とすぐ購入。考えればVoicy経由でその人のことを知り、本まで購入に至るのは初めてかもしれない。

この本のキーワードのひとつに「エイリアス」という概念があって、わたしの頭の中ではことあるごとに「エイリアス、エイリアス」とループしているのである。(いい意味で)

 エイリアスとは、「別名」や「リンク機能」という意味ですが、簡単にいうと会社にいる自分や仕事をしている自分など、特定の場所にいる自分それぞれを、自分の名前をまとった分身としてとらえる考え方です。

「メタ思考」大和書房 澤円・著 3ページ

仕事で消耗しそうになっているときって、自分の人生を会社に費やしている気分になりがちだ。わたしはけっこうその傾向がある。だが、「会社では自分のエイリアスが動いてくれているだけ」と考えるとどうだろう。

ちょっと視点を変えると、意外に余白があったり、得意なことをもっと活かせる場所がありそうだったり。今年は「メタ思考」をトレーニングしたいと思う。

もものかんづめ(さくらももこ)

忙しくてクサクサしてきたなーと感じたら、爆笑エッセイを手に取ります。(年末繁忙期でお疲れモードだったのです)

この「もものかんづめ」は、もう何度読んだか分からないくらいの愛読書。オチも言い回しも熟知しているはずなのに、毎度ケタケタ笑ってしまう。これってすごい。なぜさくらももこさんには、こんなにもおもしろい出来事が起こったのか。それを事細かに拾い上げる能力もぜんぶ、ほんと天才なんだから。

ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方

コツコツとコーヒーのお勉強。

年末年始は実家で過ごす予定だったこともあり、せっかくなら家族においしいコーヒーを淹れてあげたいなぁと。ハンドドリップの自主練もしたくて読んでみた。

著者の井崎英典さんは、2014年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップでアジア人初の世界チャンピオンになったすごい人。コーヒー業界では知らない人はいないだろう。

この本は本当に勉強になった。ただ単におすすめ道具の紹介や、コーヒーを淹れる手順をまとめた本ではない。自分好みの「世界一美味しいコーヒー」にたどり着くためのステップが書かれていて、科学や数字を用いた論理的な思考法まで!すごい情報量だけど、読者が迷子にならないように段階を踏んで導いてくれる構成だ。

コーヒーってどれだけおもしろいんだよ。この本を読んでもっと好きになってしまった。

12月に読んだ本まとめ

ありがとうございました〜!

年末年始は実家に帰省していたこともあり、移動時間=読書なんですよね。長い移動がありそうなとき、ついつい本屋に足が向いてしまいます。はい。年始から本をいろいろ買いすぎました。永遠に積読のある暮らし。

今年もたくさん読んでたくさん行動していこうと思います!!!

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