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「そとが明るいうちから〇〇」っていいよね

SNSなどで空の写真を目にするとき、たまに「※別に病んでません」みたいな注釈がついているのを見てきたからか、空の写真を撮っていると心配されるのではないか。そんな余計な考えがふとよぎる。葛藤はほんの一瞬、仕事帰りの自転車を止め、やさしいグラデーションの淡い夕空をスマホにおさめた。それが、表紙の写真。きれいでしょ。なんの変哲もないいつもの通勤途中だったけれど、この日の空は特に好みだった。人通りの多い道とはいえ、カメラを向けているのなんて、わたしだけ。ちょっと得した気分になる。

こんなふうにウキウキ帰宅できているのには、超明確な理由があるのです。

それは、働いているお店の営業時間が短くなったこと。決定したときは同僚みんなの念願叶ったかたちで、「いよっっっしゃぁぁあ!!!」とガッツポーズ。ほんとにうれしかったー。実際やってみると、営業時間中の仕事がかなりタイトな日々なのだが、夜1時間早く帰れるのなら、なんだってやってやる。だってこの1時間はめちゃくちゃ大きい。おかずが1品増えたり、PCを開く余裕が芽生えちゃったりして。

最近になって、さらに気付いたことがある。

どんどんどんどん日が伸びてきて(夏至は6月だもんね)、退勤するときに、まだ明るい。

幸。

いままでの仕事を振り返ると、明るいうちに帰れる仕事は、なかった。シフト制で早番がポツポツあったりはしたものの、ここまでコンスタントに明るい空を拝めた日々はない。こころ穏やかなことこの上なし、いまのわたし。わりと夜型の生活を送ってきたので、「そとが明るいうちから○○」って、いまでも超プレミアム級の贅沢だったりするのだ。

そとが明るいうちから退社。
そとが明るいうちからお風呂。
そとが明るいうちからビール。

どうだ。やっぱりぜんぶ最高だな。

この夏は、ヘロヘロに疲れていてもダッシュで自転車をこいで、プシュッとビールを開けてベランダでクピーッと飲もうと思うのです。深夜までガリガリ働いていた20代のわたし、よくやった。あの頃の経験があるから、帰るときにそとが明るくてきれいな夕空を拝めるだけで、しあわせになれるのであるよ。

「首の角度を上げるというのは、人間のテンションを上げるらしい」

これは、唐突に話してかけてきた、夫の談である。YouTubeで仕入れてきた知識らしいのだが、断片的とはいえ、このタイミングで妙に納得してしまった。首をくいっと上げながら、毎日少しずつ伸びる日の長さを感じつつ、空の表情を眺めて帰る。これはもはや、本能的なよろこびなのかもしれない。

営業時間の短縮で、急に転がり込んできた1時間。思った以上に豊かでした……「空がきれい……」と感じられる余裕なんて、いくらあってもいいですからね。「そとが明るいうちから○○」の、○○を増やす夏にする!


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