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ホイチョイ3部作の続編で回収された話

夏休み中に言わずもがな有名なホイチョイ3部作+同プロ製作の映画2本を一気見ました。ホイチョイ3部作とは、

のバブル全盛期が舞台の作品で、私の年代からするとちょうど自分の親世代の話ですが、当時のファッションやPCのないオフィスでの働き方、昔の東京の風景やショルダーホンなどのガジェットがリアルに出てきて時代を知らないで見てもけっこう面白い。
当初この3部作を見る前はどんなバブルの軟派な内容なんだろうと思ってましたが、全然そうではなく、中心となるヒロインも男性もどっちかというと真面目で不器用な恋愛模様が描かれています。

『私をスキーに連れてって』の矢野(三上博史)はスキーバカでモテても気がつかなく長年彼女もいない設定、『彼女が水着にきがえたら』の吉岡(織田裕二)は海に眠る宝探しに夢中で恋愛は二の次、3作目の『波の数だけ抱きしめて』なんかは、学生のミニFMがテーマの映画ですが、主人公の小杉(これも織田裕二)は7年の片思いの末ラジオの放送をぶった斬って電波に乗せてやっと告白したのに、中山美穂扮するヒロイン田中真理子がその時ちょうど車でトンネルに入ってしまったタイミングだったばっかりに電波が届かなくて?結局遠くのアメリカに留学して他の男と結婚してしまうなんていう悲恋の話になります。なので冒頭からヒロインの結婚式に参列するシーンから始まりますし。全然軟派じゃない。

かくして3部作はデッドエンドで完結。現実そんな甘くないよね。
といえばそうなんですが、実はホイチョイ映画は3部作以降も作られていて『メッセンジャー』(1999年)と『バブルへGO!!』(2007年)があります。

『メッセンジャー』に関しては今まで3部作で使用してきた田中真理子や吉岡ではない全く違う名前の主人公たちで物語が展開され、パッと見は飯島直子扮する高飛車なヒロイン「尚美」とSMAPの草彅扮する「鈴木」が繰り広げる自転車便がテーマの爽やかラブコメディなんですが、
映画の最後の山場、バイク便とのリレー競争のさなか鈴木(草彅)が妨害されてピンチに陥った際に、一旦自転車便から離れていた尚美(飯島直子)が颯爽と自転車で駆けつけてきて、鈴木の「なんで戻ってきたんだ」という問いに対して尚美が、振り返りながら音声なしで何かを叫んでいるシーンがあるんですけど、その無音の台詞を口の動きから読み解くと「波の数だけ抱きしめて」での小杉の届かなかった思いを回収していることがわかります。やっぱり4作目は別個の作品じゃなくて3部作とちゃんと繋がっていたのだと感動させられるシーンで鳥肌が立ちました。1991年から8年かかってやっと報われたと考えると長い?かもしれませんが、

誰かの言葉が何年も経ってから伝わったり言ってた意味がわかったりする。

そんなことを教えてくれた気がします。おそらく3部作をちゃんと見た人にしかわからないであろうその重要な音声なし部分のセリフは、もろにネタバレになってしまうので言及しませんが、ぜひホイチョイ節を楽しむためにも少なくとも3作目と4作目の2作品は続けて見ていただきたいところ。

変わって最後の5作目『バブルへGO!』では今までヒロイン名に使用していた田中真理子(薬師丸ひろ子)は母親になっていて、その娘の田中真由美(広末涼子)がドラム式洗濯機のタイムマシンでバブル時代に行き、下川路(阿部寛)と日本の未来を救う話。こちらはもう恋愛の段階ではなく家族の話となっていてホイチョイ作品の本当の完結編?として夢のあるハッピーエンドとなっています。

見てほしいとは言ったものの、、友人に勧めたら5作品ともアマプラやネトフリにはないらしく、どれも夏が舞台だし今は大女優さんたちの水着シーンが結構あるから公にできないのかしら^^;なんて思ったり。一応ページ下部に探してきた動画をこっそり載せておきます。
小ネタですが彼女が水着に着替えたらではクルーズ船パーティのシーンに無名時代の叶美香が出演しています。こういうの発見するのも昔の映画の醍醐味ですよね。

かつて流行った映画を見ると当時のライフスタイルや今のおじさまおばさま世代の趣味嗜好の研究にもなるので(特に車関係)ためになります。波の数だけでレコードを開封した時にケースの中に残る異国の匂いを嗅いだり(海外盤は密閉されて輸入されてくるから)とかそんなシーンなんかも新鮮でした。

最近はSNSのおかげで探しものの解を出すスピードが早すぎる感がありますが、自分が放ったメッセージがその時は拾ってもらえなくても、後になって、たとえば自分の子供や孫世代であったり他の誰かが回収してくれることがあるかもしれません。今回のホイチョイ作品のように。作品の時代背景はそれぞれ違いますが、実は全部同じメッセージで繋がっていて、最初の年代では理解が薄くても後の世代になってやっと正しく解釈されることがあっても良いんじゃないかなんて思いました。

☆参考動画

私をスキーに連れてって(1987)

波の数だけ抱きしめて(1991)

バブルへGO!(2007年)

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