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彩をくれたのは、君でした。

平日の朝、久しぶりに夫と二人で朝食を取った。いつもは息子と一緒か、息子が寝ている時は夫が仕事に行ってから一人で食べることが多かったので、本当に久々だった。

だからだろうか、ふと息子が生まれる前の、2人で暮らしていた頃に急に心がタイムスリップした。

朝起きて、着替えて、朝食を食べて、仕事に行く。そんな数年前まで当たり前だった日々が鮮明に思い出された。そして思った。なんて物静かで真っ白な日々だったんだろう。

平日は毎日をほぼ一定のリズムで過ごし、休日にはふらっと好きなところに出かけた。とても素敵な日々だったけれど、今思い返すとその日々は、自分だけのリズムで動ける軽やかさと、ほんの少しの寂しさを纏っていたように思う。

ふと視界にバスのおもちゃが見えた。その瞬間、ヒュンと今の自分に心が戻る。以前の生活にはまだいなかった息子の存在が、元の日々に寂しさを感じさせたようだ。私が思う以上に、息子の存在は、私の日常に溶け込んでいたらしかった。

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この前、今年1年を振り返ってみて、本当に子育て一色の1年だったと思った。丸々1年育休期間で、息子と365日一緒に過ごした。最近では、1日のルーティンもできてきて、過ごしやすくなった分、似たような日々の繰り返しに少し飽き飽きしている自分もいた。

そういえば私、子育てしかしていない。もっと前みたいに旅行に行ったり、仕事で色々な経験をしたりして、彩りのある日々を過ごしたい。そう思うと、なんだか急に今の日々が虚しくなった。

でも、思い出した。息子の生まれる前の日々だって同じような毎日を過ごすこともあったし、むしろ今よりもシンプルで少し単調な日々だったかもしれない。

それに比べて、今はどうだろう。毎朝、隣で大きな口を開けておいしそうに蒸しパンを頬張る息子に笑みが溢れ、家事でバタバタと家の中を移動すれば、トコトコと追いかけてくる息子がいる。お昼寝の時だけは静かだけれど、あとは元気いっぱいで。一緒にお出かけして、お風呂に入って、同じ布団で眠って。

忙しない日々だけれど、その分、笑顔や笑い声も増えた。思いがけない行動に驚いたり、息子の満面の笑みにこちらまで笑顔になったり。少し苛立つこともあるけれど、最後にはその愛くるしい姿で全部帳消しになって、それ以上の幸せを感じて。

あぁ、なんてカラフルな日々なんだろう。毎日が予測不能で、騒々しくて、ごちゃ混ぜで。私の毎日は、こんなにもたくさんの色で、彩られていたんだ。

そう、子育ては一色なんかじゃなかった。その中は、たくさんの色で溢れていて、それらが混ざり合って、本当に鮮やかな色を作り出してくれていた。

そして私の人生に、そんな素敵な彩りを添えてくれたのは、間違いなく息子だった。息子が私の人生を、もっと楽しくて豊かなものにしてくれた。息子のいない人生は、もう考えられない。

来年を迎える前に、そんな気持ちに気づけて本当によかった。だから、ちゃんと言わせてほしい。

いつもありがとう。そしてこれからもよろしく。

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