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夏の切なさ。



小さい頃、夏が嫌いだった。

夏生まれだっていうのに、暑いのが苦手だし、プールも嫌だし、夏らしさ全開のキャンプとか海とかそういうのも得意ではなかった。


でも、いつからだろう。夏ならではの、きゅっとするような切なさを感じるようになったのは。

夏の夕暮れ、昼間の暑さから夜の涼しさに変わるあの瞬間の何とも言えない切なさ。夏の夜、窓を開けて聞こえる鈴虫の声、花火の音。

そういうのが、夏なのかなと気づき始めた。そうすると、なんだか夏のあの感覚を味わいたくて、夏が少しずつ楽しみになった。

そして、昔の夏に聞いた音楽だったり、見た風景だったりが増えてくると、また夏が来た時にそれを聞いたり、見たりして懐かしさを感じるようになった。

またこの季節が来たなぁ。そんなふうに思うようになったのは、年を重ねたからなのかな。ちょっと寂しいけれど、この感じは嫌いじゃないよ。

今年ももっと夏を感じたかったのだけれど、暑い暑いと言っている間に夏が行ってしまったみたい。

来年は、花火とか、海とか、キャンプとか、夏らしいことしてみようかな。