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ピンクリボンと千円カット

三歳のときに壊したアナログ時計と一緒に箱に詰めた。

何気ないことを一番大切に思っていたあの頃。

いつもいつも空気が淀んでいてわたしらしかった世界。

くまさんの匂い。

ありがとうこれから、アルゼンチンのカフェに行くのだから、

何も用意しなくて良いよというけれど、

悲しい、悲しい風が吹いていたの。

こっちが困るの、三渓園は緑すぎるの。

君も少し、青すぎるの。

それってよく考えたら宗教なの。

奈良ナンバーが続く。


かわいいの素がそこかしこに散らばっていたら意味がない。

もはや何がかわいいのか判別がつかない。

雲から恐ろしい音が聞こえるけれど、犬は気付いていない。

リボンを結んでいるときにだけ眠くなっていく私たちを閉じ込める正体は、

パステルピンクの、シンプルな世界に隠されていた。


わたしたちはそもそもそういうものを好まなかった。

架空の世界に押し込められた、現代の夢っ子少女たち。

そこに夢はああっただろうか。

嘘が見抜けるということ、日の出町で頭を打つこと。

逆方向へ吸い込まれたい。もっと大きな力に身を委ねたい。

短いものには巻かれたくない。

しかしこぼれたエサに群がるようで厭らしい。

誰にも魅られたくない。

触れたら吸い付いて来そうな肌が案の定吸い付いてきて気持ち悪い。

わたしはひとりで生きたい。

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