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詩「亀」

春風が通りぬける赤い太鼓橋のもとに
柔らかく平らかに盛り上がる土のうえに
雨上がりにきらめく水草のそばに
無数の黒い甲羅が重なっている
その生きた彫刻は
天の奥行きのなかに
光を
かたい鼻先をあつめて
まっすぐに顔を向けている


だが夜になると
そそくさと踵を返し
いくつかのすがた
ぬるりと晦ます

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